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  • 2016/04/13 掲載

千葉市とイオンが地方創生でタッグを組んだ理由 地域エコシステム実現の4つの柱とは

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国家戦略特区の千葉市と大手流通グループのイオンは11日、地方創生実現のため、地域に根ざした「地域エコシステム」を構築するために協力して取り組んでいくことを発表した。行政や企業が協力体制を築くことで、これまでとは違うアプローチで住みたくなる地域づくりを目指していく。イオンと千葉市がタッグを組んだ背景にあるものとは何なのか。
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(写真左から)イオン 取締役兼代表執行役社長 岡田 元也氏、千葉市長 熊谷 俊人氏

千葉市とイオンが協力、新しい街づくりへ

 「デジタリゼーションの進化により人々の生活が変わりゆく中で、イオンは地域づくりにもっと貢献していなかければならないと考えた」と語るのは、イオン 取締役兼代表執行役社長でイオンCEOでもある岡田 元也氏だ。

 イオンのビジネスの中心は言うまでもなく小売業であり、国内外に広く展開しているとはいえ、基本的には地域に根付いてこそ成功するビジネスだ。地域への還元は、自社ビジネスを成長させることにもつながり、住民にもイオンにもメリットをもたらす。

 今回千葉市とイオンが発表した「地域エコシステム」とは、デジタリゼーション、モビリティ、ヘルス&ウェルネス、ポイント・バリューを4つの柱として形成されるもの。

 千葉市から取り組みを開始する理由について岡田氏は「一気に全国展開するのは難しく、実証実験に協力してくれる地域からスタートしたいと考えていた。(イオングループの)本社がある千葉市がその候補地に挙がったのは当然のことであり、なおかつ熊谷市長からも力強い協力体制を約束してもらえた」と明かした。

 2019年の実用化を目指して、Amazonと共同でドローン宅配実験も始めている千葉市。国家戦略特区にも指定されている同市は新たな取り組みを展開しやすい場所であり、今回の取り組みが成功すれば、全国への展開がしやすくなる。

 千葉市とイオンは今回の地域エコシステムづくりの中心メンバーではあるが、岡田氏も熊谷市長も、二者による閉ざされた取り組みではないと強調した。地域を良くしたいという共通の志を持つメンバーと対等かつオープンなコミュニティを築いていくという。

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イオンと千葉市が取り組む地域エコシステムのメンバー

 岡田氏は「市民団体や教育機関など幅広いメンバーの参加を得て、より住みよい地域づくりを目指す。日本郵政グループや三越伊勢団ホールディングス、京成電鉄、日本航空などの企業からすでに参加を表明いただいている」と語った。

「地域エコシステム」で目指すのは住みたくなる街づくり

 千葉市とイオンが目指す地域エコシステムとは、具体的にどのようなものなのか。ヒントとなるのは、先に挙げた4つの柱だ。

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「地域エコシステム」実現のための4つの柱

 デジタリゼーションの積極的な推進により目指すのは、ストレスフリーな生活体験だ。駅やイベント会場の近くにいる人に向けて、エリアチェックインとプッシュ通知機能を使い便利でお得な情報を届けたり、バーチャル試着やスマートペイの活用による買い物体験自体を進化させたりと、日々の生活体験にIT技術を浸透させていく。

 モビリティ面では、地域内の交通、移動の進化を目指す。電車やバス、タクシーといった公共交通機関をより使いやすくするオンデマンドな交通網の実現が例として挙げられた。住民の移動だけではなく、荷物の移動についても進化を探っていく。オンラインショッピングで購入した商品の1時間以内配送や、受取場所の自由度向上などにより住民の要望に柔軟に応えられる体制を整えていく。なお、オンラインショッピングの1時間以内配送は、市内一部地域でもではすでに始まっているとのこと。

 ヘルス&ウェルネス分野では、身も心も豊かに暮らせる街づくりを目指していく。プロジェクトリーダーである齊藤 岳彦氏が一例として示したのは、青森の一部店舗で既にスタートしているというモールウォークだ。「イオンモールは全天候型施設で、屋内の快適な空間でウォーキングが可能。歩いた歩数によって健康ポイントを発行することで、高齢者をはじめ地域の方々の健康づくりに役立てていただけると考えている」と齊藤氏。先行する青森ではイオンモールだけで完結しているが、千葉市では協力を得られる施設に広げていきたいという。

 ポイント・バリューを通じた地域活性化については、オープンなアライアンスを前提として、色々な場所で使えるポイントシステムの導入を目指す。

 こうした取り組みを通して「千葉市民が千葉市に住んでいてよかったと思うようになること、他の地域の方々が千葉市に住みたいと魅力を感じてくれるようになることを目指したい」と齊藤氏は語った。

【次ページ】国家戦略特区として「必要であれば規制緩和も」
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