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- 2016/02/26 掲載
秋田県大潟村は、なぜ「農業」で消滅可能性都市を免れたのか
減反政策に振り回されてきた歴史
大潟村の農家には入植の際、1世帯当たり15ヘクタールの農地が配分された。全国平均のざっと10倍という広大な土地だ。これまではその大規模農地を活用し、日本有数の稲作地帯として発展してきた。
現在は米以外に小麦、大豆など畑作物も栽培されている。国の減反政策で転作を求められたからだ。しかし、村の農地は水はけが極めて悪く、水田に適すものの、畑作に向かない。このため、離農者が相次いだほか、国の政策を無視して非正規流通米を生産する農家が続出するなど、減反政策に振り回されてきた歴史も持つ。
大潟村だけが出産適齢の女性人口増加
秋田県調査統計課によると、2015年10月現在の国勢調査速報値の県人口は102万2,839人。2010年の国勢調査に比べ、6万3,000人余り、5.8%も少なくなった。市町村別で見ると、全25市町村が人口減少したばかりか、男鹿市、上小阿仁村、藤里町、小坂町、八峰町の5市町村が10%以上の減少率を記録した。県調査統計課は「社会減の影響もあるが、少子高齢化による自然減が響いた」とみている。
この中で最も人口減少幅が小さかったのは、県都で中核市に指定されている秋田市の2.5%減。大潟村は3.4%減で、秋田市に次ぐ第2位に位置する。近隣自治体と比べても人口減少率の低さは飛び抜けている。人口急減が続く県内で、地方都市並みの減少幅にとどまっているわけだ。
2014年に日本創成会議がまとめた人口予測は、もっと衝撃的な内容が含まれている。20~39歳の女性人口を推計したところ、25市町村のうち秋田市を含む24市町村が、50%以上の減少となる消滅可能性都市に該当した。2040年の20~39歳女性人口は2010年に比べ、男鹿市の74.6%減を筆頭に、24市町村が50~70%台の減少率となった。秋田市も54.3%減という大きな減少幅を示している。
これに対し、唯一の例外となった大潟村は15.2%増。総人口は2010年の3,218人が2,868人に減ると予測されたものの、出産適齢期の女性人口は2010年の311人が358人に増えると見積もられている。その理由は大潟村の農業にある。
【次ページ】所得が1,000万円を超す農家も少なくない理由とは?
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