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- 2016/01/25 掲載
トレンドマイクロCEO、ネットイースCEOが語る経営資源としての「人」
イノベーションはどこに生まれるか
サイバーセキュリティのプロバイダーであるトレンドマイクロは、台湾人の起業家が米国で起業し、日本の東証1部にも上場するユニークな会社だ。「第17回 日経フォーラム 世界経営者会議 2015」に登壇したトレンドマイクロ 社長兼CEOのエバ・チェン氏は、同社の強みについて以下のように語った。
「1989年に創業したトレンドマイクロが、26年間、事業を続けていられる理由は、デジタル情報を安全にやり取りする社会を実現するというビジョンにあります。成長の原動力は、競合他社や攻撃者の一歩先をいくイノベーションです」(チェン氏)
同社が、投資家や従業員、お客様に対して価値を提供するために大事にしているのは、「コアコンピタンス(独自の能力)」だ。
「投資家への利益を考え過ぎると、利益追求だけに走ってしまう。一方、お客様中心が行きすぎると、マーケットシェアだけに関心がいってしまう。そこで大事にするのが、コアコンピテンスです。すなわち、オペレーションの効率、お客様との関係を深めるベストのサービス、イノベーティブな製品を作るリーダーシップというコアコンピタンスによって、お客様や投資家に価値をもたらすという考え方です」(チェン氏)
では、同社はどのようにイノベーションを起こしているのか。チェン氏は語る。
「お客様の課題が何かを考え、その解決策を提供すること。どこに問題があるか、誰が痛みを感じているか、痛みはどれくらい大きいか、自分たちのソリューションは、どれくらい痛みの軽減に寄与するかを考え、企業活動に心をこめ、実行することがお客様の価値となります。私は市場規模を考えません。自分たちが市場を作るのです」(チェン氏)
課題を見つけ、お客様を理解し、ソリューションを提供するところにイノベーションが生まれるということだ。
「今後はビッグデータの分析により、お客様の課題を見つけ、今まで見えなかった需要やニーズが分かるチャンスが広がってくるでしょう。私が常に従業員に言うのが、セキュリティソリューションは、特定のセグメントではなく、6歳から80歳まで、老若男女を問わず誰でも簡単に使えるものでなければならないということです」(チェン氏)
チェン氏は、「日本との長期的な関係、継続的なイノベーションの支援に感謝します」と語り、セッションを締めくくった。
【次ページ】 かつての日本は「人が資源」だったが…
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