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  • 2015/12/09 掲載

韓国SKテレコムが、次世代5G網のインフラをOpenStackで構築した理由

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NTTレゾナントが運営するWebポータルの「goo」。同社がOpenStackを採用した理由は大きく3つあった。1つめはサービスからリリースまでの期間短縮化、2つめはコスト削減。3つめがNTTグループとしてノウハウを蓄積できていたこと。同社の取り組みのほか、Rackspaceが開発した新たなDockerコンテナホスティングサービス「Carina」、韓国SKテレコムでの5GでのOpenStack活用の取り組み、楽天、サイバーエージェント、IBMらの取り組みにフォーカスする。

「goo」のインフラにOpenStackを採用した3つの理由

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NTTレゾナント 取締役の西山 敏雄 氏
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 OpenStack Summit 2015の2日目、Mestery氏に続いて登壇したのは、NTTレゾナント 取締役の西山敏雄氏。今回、NTTグループはSuper User Awardを受賞しており、まずその謝辞から西山氏のセッションは始まった。

 NTTレゾナントが運営するWebポータル「goo」は、国内3位の規模を誇る。月間ページビューは10億。多彩なWebサービスを提供している。開設して18年目だが、現在も成長を続けているという。

 その「goo」のインフラにOpenStackを採用した理由は「3つある」と西山氏は言う。第一はサービス設計からリリースまでの期間短縮のため。第二はコスト削減。「以前はVMの作成をマニュアル行っていたという。運用コストを下げる必要性があった」と西山氏。

 第三はグループ内でOpenStackの知識を蓄積できていたこと。「それを生かすことにメリットを感じた」と西山氏は語る。

 新サービスに採用したOpenStackのバージョンは9番目のIcehouse(最新のLibertyは12番目)。現在はプライベートクラウドで使っているという。現在、400のハイパーバイザー上で80以上のサービスが稼働。2014年4月にOpenStack導入のレビューを開始し、10月に運用開始。「6カ月間で導入までもっていくことができた」と西山氏は構築期間の速さを評価する。

 そのために同社では設計のポリシーがあったという。第一に使用するコンポーネントを厳選。同社ではRDOコミュニティが開発したOpenStackのパッケージを採用した。またOpenStackの機能に対しては特に変更を加えることもしなかった。

 第二に既存の運用ツールやルールを使って統合を行ったこと。「元々Puppetを使ってサーバのコンフィグレーションの管理を行っていた」と西山氏。現在もPuppetをOpenStackの管理、インストールにも活用している。それに加えてZabbixが半自動的にクラウドのVMをモニタリングできるようにもしたという。

 第三は開発の次の段階の課題に立ち向かったこと。「これはNTT R&Dとのコラボレーションで行った」と西山氏は語る。現在、VLANをNeutronのネットワークを使ってコントロールしているが、「コミュニティにタイしてはバグに関してフィードバックを行った」のだそうだ。

 OpenStack導入をしたことで、「デリバリーと展開の時間を短縮できた」と西山氏は言う。新しいサービスをリリースするのに従来は3カ月かかっていたが、現在は2週間で展開が可能になった。それに加えて、サービス開発チームのリクエストに対して柔軟に対応できるようになったともいう。もちろん運用コストの削減も実現した。

 今後の計画として同社では次期リリースとなる「Mitaka」(14番目のリリース)へのアップグレードを予定。またハードウェアのロードバランサをNeutronのLBaaSへの連携の検証も行っている。「来期についてはCephを試してみたい」と西山氏。

 さらなる将来としては「複数のデータセンターを一つのバーチャルデータセンターとして扱えるよう、vDCの世界を作りたいと思っている。これはコミュニティ全体のゴールだと思う。やりがいのある課題だと思う。NTTレゾナントは技術的な開発で貢献していきたい」と展望を述べ、西山氏はセッションを終えた。

Rackspaceが開発した新たなDockerコンテナホスティングサービス「Carina」

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RackspaceのScott Crenshaw氏(右)と上級アーキテクトのAdrian Otto氏
 続いて登壇したのは、RackspaceのScott Crenshaw氏と上級アーキテクトのAdrian Otto氏。まずはインテルとの協業で設立したOpenStack Innovation Centerに関する紹介を行った。「何千台モノノードのクラスタを提供できることを嬉しく思っている。さらにコミュニティ開発用に2000ノードを提供することを計画している。もちろん無料で」とCrenshaw氏。

 ここで話題は同社が新たに開発したDockerコンテナのホスティングサービス「Carina」の話に。「Carinaはコンピュータの経済性を変える要素がある」とCrenshaw氏は語る。何よりもこれによって変わるのが、「すぐにコンピュートできるということ」なのだ。したがって開発者はアプリケーションの開発にのみ注力できるようになるという。

 たとえばゲーム開発をする際、どれだけ簡単にできるようになるのか。それを証明するため、Otto氏は10歳の息子(Jackson君)にCarinaを使ってもらうことにした。Jackson君はOtto氏の指示の下、クラスタ名を入力。すると45秒ほどでクラスタの作成が完了。クラスタの設定が入ったアーカイブをダウンロードし設定を読み込むだけで、難なくDockerを起動させたのだ。特別なツールを何も使うことなく簡単にできるのが、Cariaの特徴だという。

 このサービスの大規模ユーザーとしてPanteonを紹介。Pantenonでは120万のコンテナを同サービス上で実行しているという。「クラウドスケールで運用できる実証になるはず」とCreshaw氏は語る。またOpenStackではDockerコンテナを扱えるようにするMagnumがある。そのバックエンドにDocker Swarm、Kubernetes、Mesosが使えるようになったという。

「私たちのサービスはプライベートクラウドでも利用可能なので、ぜひ活用して欲しい」

 最後にこう語り、Rackspaceのセッションは終了した。

【次ページ】次世代5GネットワークのインフラをOpenStackで構築するSKテレコム
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