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- 2015/12/08 掲載
OpenStack Libertyで最も熱い「Neutron」が、SDNとNFVに注力するワケ
NFVはテレコムの世界を完全に変えてしまう
OpenStack Libertyで最も熱いプロジェクトは「Neutron」
そして話は10月から提供が開始された「OpenStack Liberty」の話に。LibertyではユーザーがよりOpenStackの世界を理解できるよう、「コアサービス(大多数の人が利用するサービス)」と、それ以外の周辺のオプションを「ビッグテント」と呼び、整理したという。「ビッグテントは拡大しつつある」とCollier氏は語る。
OpenStack Liberty関係では、さまざまなプロジェクトが動いている。その中で今、最もアクティブなのが、ネットワーク機能の「Neutron」だ。これは開発者が情熱を持って取り組んでいるというだけではない。OpenStackコミュニティでは毎年、ユーザーアンケートを実施しており、2014年に本番環境の中でNeutronを動かしているユーザーは68%だった。
「いい数字と思うかも知れないが、このプロジェクトが始まった頃には、メンバー全員が2014年にはOpenStackのすべての環境でNeutronが動いていることを目標とし、開発していた」とCollier氏は明かす。
しかし今年アンケートを行ったところ、89%という結果が得られ、「ほとんどのOpenStackの環境でNeutronを入れていることがわかった」とCollier氏。Neutronが大躍進を遂げたことを、「クォンタム・リープを遂げた」とたとえた。実はこれはアメリカのテレビ番組(邦題は「タイムマシーンにお願い」)とNeutronの旧プロジェクト名Quantumをかけたジョークで、Collier氏はどうしてもスコット・バクラ(その番組の主演は俳優)を使いたかったのだそう。
OpenStackの3要素である「コンピュート」「ネットワーク」「ストレージ」の中でも、ネットワークがホットなのは、「コンピュートとストレージが成熟しているから」だという。またネットワークは自動化が難しいので、熱く取り組んでいるのだそうだ。
NeutronのトピックスとしてCollier氏が挙げたのがNFVとSDN。「SDNマーケットはサーバ仮想化の2倍のスピードで伸びている」と調査会社の結果を見せCollier氏は説明する。その勢いは衰えず、2018年には100億ドルに達すると予想されている。「さまざまな投資がされているが、最も多くの投資を行っているのがNFVの分野だ」とCollier氏は言う。
NFVはテレコムの世界を完全に変えてしまうとCollier氏は言う。これまで3Gから4Gに変更する際、通信キャリアは非常に膨大な投資を行ってきた。しかしNFVであれば、ハードウェアを入れ替えることなく、ソフトウェアで通信キャリアの世界を完全に変えてしまう。
ある調査会社のデータによると、通信キャリアがNFVを活用した場合、CAPEXが68%、OPEXが67%削減できるようになるという。また通信キャリアがNFVを採用することで、新しいサービスを導入する時間は15カ月から6カ月に減らすことができるようになる。
「NFVを扱う通信機器の上位5社がすべてOpenStackを採用しており、OpenStackはデフォルトのコンポーネントになっている。つまりOpenStackに賭けている」とCollier氏は力強く語った。
【次ページ】LibertyリリースでNeutronはどう改善されたのか
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