- 2025/04/23 掲載
NY市場サマリー(22日)ドル上昇、長期債利回り低下 株急反発
<債券> 長期国債利回りが低下した。前日の利回り上昇分の一部を取り戻した。 トランプ米大統領がパウエルFRB議長の解任を示唆したことで、米経済の安定性と制度の健全性に対する市場の懸念が高まり、前日には利回りが急上昇した。 こうした懸念は22日も市場を動揺させ続けたが、トランプ関税の導入が米国経済に打撃を与えるとの懸念が続く中、債券には安全資産としての一定の需要があった。 マニュライフの最高投資責任者ネイサン・トフト氏は「米国債にとって潜在的にマイナスとなる要因がある。しかし同時に、米国債は依然として米国内外の多くの人々に安全資産として利用されている」と述べた。 ただアナリストらは、FRBへの攻撃が、トランプ大統領の不安定な政策決定と海外投資家の米国債購入意欲に対する懸念を悪化させる可能性があると指摘している。 指標10年債利回りは4.39%と、前日から約1.5ベーシスポイント(bp)低下した。30年債利回りは約3bp低下し4.881%となった。 一方、2年債利回りは3.809%で、前日の3.752%から上昇した。 2年債と10年債の利回り格差は58bpに縮小した。
<株式> 急反発して取引を終えた。米中貿易摩擦が緩和に向かう兆しが出ていることで、これまで様子見姿勢を取っていた市場参加者が買いに転じ、主要3指数はそろって2.5%を超えて上昇。ダウ工業株30種は1016ドル高で引けた。 ベッセント米財務長官はこの日、将来行われる見通しの中国との貿易交渉は「長期戦」になる可能性が高いものの、米中貿易摩擦は緩和されると確信していると述べた。 カーソン・グループ(オマハ)のチーフ市場ストラテジスト、ライアン・デトリック氏は「ジェットコースターのような相場展開は続いている」としながらも、「ベッセント長官の発言で米中貿易を巡る緊張がやや和らぎ、相場が押し上げられた」と指摘。「米政権は関税を巡る不確実性で市場が痛手を受けていることは認識している。今後、貿易を巡る何らかの前向きなニュースが出てくる可能性がある」と述べた。 S&P総合500種は米関税政策を背景とした過去数週間の売りを受け、2月19日に付けた終値での最高値を依然として約14%下回っている。 この日は企業決算も材料視された。複合企業スリーエム(3M)は、第1・四半期の利益が予想を上回ったことを好感して8.1%上昇。ただ、2025年の利益については関税の影響を受ける可能性を示唆した。 防衛大手ノースロップ・グラマンは大幅減益を嫌気して12.7%下落した。 航空防衛大手RTXも9.8%安。関税の影響で通期利益が8億5000万ドル下押しされる可能性があるとの見方を示した。 S&P500の主要11業種が軒並み上昇し、金融や一般消費財の上昇率が大きかった。
<金先物> 利益確定の売りに押され、反落した。中心限月6月物の清算値(終値に相当)は前日比5.90ドル(0.17%)安の1オンス=3419.40ドル。
<米原油先物> 対イラン追加制裁の発動や米国株高を眺めて買いが入り、反発した。米国産標準油種 WTIの中心限月5月物の清算値(終値に相当)は、前日比1.23ドル(1.95%)高の1バレル=64.31ドル。6月物は1.26ドル高の63.67ドルだった。
米財務省はこの日、イラン産原油・液化石油ガス(LPG)の海外輸出を担う大物、サ イード・アサドゥーラ・エマムジョメ氏とその企業ネットワークを新たに制裁対象に指定したと発表。これを受け、週末の核開発問題を巡る交渉進展を受け、両国の関係が改善するとの期待が後退。また、米株式相場が一部主要企業の好決算をはやして大幅反発した流れも波及し、買いが先行した。
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