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  • 2015/11/05 掲載

組織と個人のパフォーマンスの問題は「成績中位の人」に着目せよ(2/2)

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パフォーマンスの問題は「中位の人」に着目せよ

 そもそも、人を「パフォーマンスがあがる人」と「そうでない人」に二分するのはいかがなものだろうか。丁寧に現実を観察すると、集団とは「極めてパフォーマンスが高い人」「中位の人」「全然パフォーマンスがあがらない人」という3つのグループに分かれるもので、ここから議論を出発すると、まったく違う景色が見えてくる。

 この3つのグループを考えた時に、実は、ある集団で極めて高いパフォーマンスを発揮した人というものは、他のどのような集団においてもやはり、一定以上のパフォーマンスをあげるということが頻繁に観察される。彼等にとっては組織文化や組織構造といった環境の問題は、さほど大きなことではないのである。全然パフォーマンスがあがらない人というものを考えても、やはりどの環境でもさほど状況が変わらないようである。

 環境の影響をもっとも受けるのは、中位の人々である。のびのびした環境ではのびのびと、窮屈な環境では窮屈に、その環境の持つポテンシャルをそのまま体現する。

 こうして考えると、「パフォーマンスをあげたいということは、その集団にとってもその個人にとっても、基本的には共通の願いである」という問いもまた更新されなければならない。

 組織が立てるべき問いとは、そもそも「組織の総体としてのパフォーマンスを向上させたい」のか、「特定のプレーヤーのパフォーマンスを最大化したい」のかを明示的に選択すべきである、ということから出発しなければならない。前者を選択するか、後者を選択するかで、アプローチはまったく異なるものになる。

 一方で、個人の側としては、自分の特徴を使ってパフォーマンスを最大化する環境を、いかにして見つけ出すかということが問われるべきである。

 極めてパフォーマンスが高い人、全然パフォーマンスがあがらない人たちは、いかに環境依存度が低いといっても、当然ジャンルによって向き不向きはある。ある環境で驚くべきほどにパフォーマンスがあがらないという事実があったとき、かえってそのほうが特徴が明確になっているわけなので、むしろそこを起点とした選択肢が見えてくる。

 いまその集団で自分がどの位置にいるのか、自分はどのような環境でこそパフォーマンスが向上する特性を持っているのか、という冷静な自己評価が必須である。終身雇用を保障する企業ばかりではなくなったいま、「自らのパフォーマンスを最大化できる環境を見つけ出す力」こそ、今後生き抜いていくための必須スキルなのである。

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