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- 2015/08/28 掲載
Google新CEOにサンダー・ピチャイ氏――インドIT人材の強さの源とは
インドIT最新事情
インドIT業界の現場は今
わが「エクスシエル・エフ・エー・コンサルティング」のシニアコンサルタントも朝9時から夕方6時まで、クライアントとの打ち合わせ、社内外の有識者へのインタビュー、社内のリサーチ部署や業務分析部署との協同作業、自分のチームでの検討セッションなど忙しい毎日だ。チームセッションでは、幅広い考え方やモデルが百出し、ホワイトボードを使った議論は時には2~3時間に及ぶ。
あわただしい日中の予定の後もITコンサルタントの仕事は終わらない。今日1日でわかったことを明日からのステップへつなげるために頭の整理をし、明日の準備やその先の見込み客への備えも怠りない。ねじり鉢巻きでオフィスにこもり、重要プレゼン資料を作ったりもする。
一方で、役得がある。時間をうまく使うためにフレキシブルな働き方が許されているのだ。早番遅番を選べるようになっていたり、平日にがんばる人もいれば平日を空けて週末に仕事をする人もいたりする。仕事場が自社、クライアント先、自宅、オフィス外、ホテルなどと自在なのも普通だ。これにより効率が上がる一方、上司も毎日毎日の報告を求めない。
おかげで実際のところインドのITコンサルタントは、社会、経済、環境の全方位にアンテナを張った、サステナブル・ライフスタイルをエンジョイしているようだ。
とあるインド女性ITコンサルタントは今
インドの中心デリーで世界有数のIT企業に勤めて3年になる友人カマラ(仮名)も、そんなITコンサルタントの1人だ。デリーのような先進地域では彼女のような女性ITコンサルタントも珍しくない。話を聞いてみた。第一声は、インドIT産業の成熟を垣間見るような言葉だった。「ITコンサルタントとして3年経ち刺激には慣れそうなものですが、いまだに、ワクワクする案件やチャレンジで毎朝目覚めるような気がするんです」
カマラは今の会社に勤める前は、1年ほどウェブサイト開発会社の社員だった。そこでは最新のIT技術を磨くことができ、この時代の経験がITコンサルタントとしての土台となった。3年目となった今、あらゆる業種の案件で全土を飛び回り、クライアントの課題解決に重要な部分を任されるようにもなって、ITコンサルタントとしての成長を続けている。
カマラが現在習得に努めているITスキルは、ITIL(Information Technology Infrastructure Library:IT業務プロセスのベストプラクティスをまとめた、国際的にもデファクト・スタンダードと目される書籍集)の理解に始まり、SQL、JAVA/J2JEE、Java、Oracleといった個別技術にまで及んでいる。これらはインドのITコンサルタントに一般的に求められる素養でもある。
現在カマラは、ソフトウェア会社が開発する新商品の案件に取り組んでいる。国内外でIT業界の地平が急速に変化し続けている中、クライアントも、こうした変化が今後の自社製品の拡販戦略にどう影響するか模索しているようだ。
このように充実した毎日を送っている例もある、インドのITコンサルタント。インド国民の中でどういうステータスに位置づけられているのだろうか。これを検証するのにわかりやすいひとつの尺度として、年収を取り上げてみた。
【次ページ】 年収は1人あたりGDPの7倍
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