• 2015/01/19 掲載

EV車の拡大で車載用電池世界市場は2020年に約1兆4,949億へ LiBのシェアも伸張

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矢野経済研究所では、車載用電池世界市場の調査を実施し、19日に調査結果を発表した。調査期間は2014年6月~12月、調査対象は日系車載用電池メーカー、韓国車載用電池メーカー、中国車載用電池メーカー、日系自動車メーカー、欧州自動車メーカー、米国自動車メーカー、その他自動車メーカー等。調査方法は、同社専門研究員による直接面談取材をベースに、文献調査を併用した。
1.市場概況と将来予測
 2013年の車載用電池世界市場は金額ベースで3,789億7,000万円、容量ベースでは6,187MWhとなった。HEV(HybridElectricvehicle:ハイブリッド車)の販売拡大、電池容量の大きいPHEV(Plug-inHybridElectricVehicle:プラグイン・ハイブリッド車)とEV(ElectricVehicle:電気自動車)の新モデルが市場に投入され、販売が拡大したことが市場拡大の要因となった。

 2014年以降、消費者の環境保護に対する意識の高まりや、厳しさを増す燃費規制と排出ガス規制に対応するため、また、各国のxEV(HEV、PHEV、EV)普及政策の恩恵などを背景に大手自動車メーカーがPHEVやEVの新モデルを相次いで市場投入していくことから、xEV市場は更なる拡大を続け、その結果、2014年の車載用電池世界市場は金額ベースで前年比13.7%増の4,309億5,000万円、容量ベースでは前年比24.4%増の7,698MWhになると見込む。

 2020年に向け、世界各国において法的拘束力を持つ新しい環境規制が導入されることや、xEVの需要拡大を見据え、生産能力増強に走るLiB(Lithium-ion Battery:リチウムイオン電池)メーカーも目立っている。今後、LiBの低コスト化が本格的に進み、また、バッテリー技術の進化などに伴い、後押しされたxEVは本格的な普及期に突入すると考える。

 車載用電池市場は堅調に拡大し、2020年の車載用電池世界市場は金額ベースで1兆4,949億5,500万円、容量ベースでは59,543MWhに成長すると予測する。

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図表 1.車載用電池世界市場規模推移と予測

2.電池(Ni-MH、LiB)別の市場動向
 車載用電池世界市場におけるNi-MH(ニッケル水素電池)とLiBの構成比率を見ると、2012年はNi-MHが1,599MWh(構成比51.3%)、LiBが1,516MWh(同48.7%)であったが、2013年にはNi-MHが1,689MWh(同27.3%)、LiBが4,498MWh(同72.7%)とLiBの市場規模が大幅に拡大し、逆転した。これまでNi-MHを搭載していたHEVがモデルチェンジや新モデルの上市を機に、体積比での電池容量の向上と小型軽量化に優位なLiBへの置き換えが始まったこと、また、長いEV走行(電気自動車モードでの走行)距離確保のために高容量電池の搭載が必要なPHEVとEV向けにLiB搭載が増えたことが理由として挙げられる。

 2014年はNi-MHを搭載した新規HEVモデルが増加し、日本と米国を中心にHEVの販売が好調である。そのため、Ni-MH電池市場は引き続き成長し、前年比30.0%増の2,196MWh(構成比28.5%)になる見込みである。一方、LiBもPHEVやEVの新モデル上市による販売拡大を受け、前年比22.3%増の5,502MWh(同71.5%)になると見込む。

 今後も、HEV向け電池では依然としてNi-MH搭載がメインと見られるが、高容量電池を用いた燃費改善効果や、車両スペースの有効活用を図るため電池の小型化ニーズは高まっており、今後、LiBの低価格化が進むことで、Ni-MHからLiBへの置き換えはより進むと予測する。

 その結果、2015年においては、Ni-MH市場は2,861MWh(構成比22.9%)、LiBが9,632MWh(同77.1%)、2020年にはさらにLiBの低価格化が進むことにより、Ni-MHが8,106MWh(同13.6%)、LiBは51,437MWh(同86.4%)になると予測する。

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図表 2.電池(Ni-MH、LiB)別世界市場規模推移と予測

3.LiBのxEVへの搭載動向
 燃費改善効果を得るために、長いEV走行(電気自動車モードでの走行)距離が求められるPHEVとEVではLiBが搭載される。2014年は手厚い優遇策を行う国・地域においてPHEVとEVの販売が拡大し、PHEV向けLiB市場が1,128MWh(前年比22.7%増)、EV向けLiB市場は3,870MWh(同19.8%増)と拡大の見込みである。

 2015年は環境規制対策と自動車性能向上を狙ったPHEVとEVの新規モデルの市場投入が相次いで予定されていることや、これまでPEHVとEVに消極的であった欧州自動車メーカーも開発に本腰を入れてきていることから、PHEV向け、EV向けいずれも引き続き拡大していくと考える。同年のPHEV向けLiB市場は1,828MWh(前年比62.0%増)、EV向けLiB市場では7,040MWh(同81.9%増)になると予測する。

 2020年に向けては、各国において法的拘束力を持つ新しい環境規制が導入されることや、xEVの需要拡大を見据えた大規模LiB生産拠点の建設等、電池メーカーの生産能力増強によるLiBの低コスト化が本格的に進むことで、xEVの本格的な普及期に突入すると考える。また、バッテリー技術の進化などに伴い、xEV生産が促進され、LiB市場も早いペースで成長すると予測する。

 特に、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンと併用し、走行途中で電池容量が足りなくなった際にはハイブリッド走行に切り替えることが可能で、EV走行による大幅な低燃費効果が得られるPHEV市場の拡大が見込まれ、PHEV向けLiB市場の成長率が高まると予測する。

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図表 3.搭載車種(HEV、PHEV、EV)別 LiB 世界市場規模推移と予測

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