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- 2013/10/03 掲載
米ツイッター デブ・ロイ氏が語る、ソーシャル・サウンドトラックとは?
“ツイッター×テレビ”のメディア融合の影響力
ハイブリッドな人と人のつながりを生み出すソーシャル・サウンドトラックとは
だが、少しイメージを膨らませて、テレビとツイッターが連動している姿を考えてみると、どんなことが起こるだろうか――。
デジタルマーケティングの世界的カンファレンスである「アドテック東京2013」の基調講演に登壇した、米ツイッターのChief Media Scientistであるデブ・ロイ氏は、「そこからハイブリッドな形の新しい人と人とのつながりが生まれてくる」と示唆する。
MIT(マサチューセッツ工科大学)の准教授でもあるロイ氏は、認知科学を専門として、機械学習や認知モデリング、ヒューマンマシンインタラクションといった分野で多大な実績を残してきた人物だ。また、ツイッターに入社する以前は、自らが共同設立したソーシャルテレビの分析会社であるBluefin Labs社(2013年にツイッターが買収)のCEOを務めてきた。
そうした中で培ってきた心理学およびソーシャルダイナミクスの見地から、「“ツイッター×テレビ”という革新的なメディアの融合が始まっている」と言うのである。
原動力となるのは、大規模なオーディエンス(視聴者)たちだ。何百万人もの視聴者がテレビを観ながらツイッターで会話を始め、ツイッターはライブな「ソーシャル・サウンドトラック」となる。こうした視聴者の新しい行動に応える形で、テレビ業界とツイッターは融合を加速しているのである。
なお、ロイ氏の言うところのソーシャル・サウンドトラックとは、かつて無声映画に同時音声(サウンドトラック)が導入されたのと同等の変革をもたらすものである。映画はサウンドトラックを得ることで、より大きなクリエイティビティを発揮してきた。仮にサウンドトラックがなかったとしたら、今日において名作と呼ばれている映画タイトルの大半は、この世に存在しえなかっただろう。「我々は今まさに、その創造的な拡大期の初期段階を目撃している」とロイ氏は言う。
ツイッターとテレビの融合は広範囲に影響を及ぼし、まったく新しい形の情報提供、娯楽、キャンペーン、あるいは販売の方法を出現させていくと考えられる。
ツイッターがコミュニケーションにもたらすユニークな3つの特徴
「たとえば、夕日を一人で見たときと誰かと一緒に見たときでは、どんな違いがあるだろうか。同じ体験をだれかと共有している場合、『夕日に映える雲を見てごらんよ』、『水面に反射している光がきれいだね』など、目の前の風景についてより細かく会話することができる。その夕日は、より大きな感動となって思い出に残ることになる。ソーシャルインタラクション(交流)が一次体験を、より印象深いものに増幅する。」(ロイ氏)
逆に、ほんの数分前に夕日を眺めていた友人と感動を分かち合おうとしても、会話はスムーズに進まない。人間は、体験のディティールのほとんどをその場で忘れてしまうからだ。このように時間の隔たりは、体験の共有を阻害してしまう。
メディアも同じであり、「共通の体験でつながっていくことが、ツイッターとテレビの融合における鍵になる」とロイ氏は強調する。
こうした観点からロイ氏は、ツイッターがコミュニケーションメディアとして併せ持っているユニークな特徴を説く。それは、次の3つのポイントだ。
【次ページ】ツイッターがテレビの視聴体験を増幅する方程式
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