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  • 2012/08/23 掲載

【CIO対談:住友生命保険 今泉 保氏】情報システム部門の自己改革~「情報システム部の企画力、アーキテクトの強化」

住友生命保険 [CIO・システム部長に聞く、対談インタビュー連載]

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ユーザー部門の業務改革を期待される情報システム部門の中には、自部門の改革も着実に進めているところがある。彼らは、どのような自己改革を成し遂げたのだろうか。本連載では、情報システム部門のトップに自ら語っていただこう。第18回は、住友生命保険の執行役員 情報システム部長、今泉 保氏に話をうかがった。
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 住友生命では、「SumiseiLief」という営業職員向けタブレット型新端末の導入プロジェクトを完了した。システムを完成させ、3万人の営業職員への導入を2ヶ月で行った。情報システムとしては、完了してからが勝負だ。昨今のシステムは、情報システム部に新しい役割を求めている。

情報システム部の企画力、アーキテクトの強化

 昨今のシステムは、過去の事務合理化プロジェクトに比較して、投資のリターンを出すための不確実性が大きくなっている。単にシステムが完成するだけではなく、これを営業職員が使いこなし、お客様がこのシステムに価値を見出し、初めてリターンが生まれる。そこで情報システム部では、システム構築後もユーザー部門に寄り添い、積極的に業務に踏み込んだ提案を行い、投資効果を高めていく。情報システム部門の役割は、単に要件を聞いてシステムを作るところから、大きく変わってきているのだ。

 今回の営業職員向け端末の刷新は、住友生命のブランド戦略「あなたの未来を強くする」の「未来応援活動」を支援するものだ。モバイル通信に対応し、単なる販売ツールから、サービスツールへと機能を高めた。お客様への診断力、提案力を充実し、その場でのお客様の各種要望への対応、事務処理までをこなす。技術的にも高度な課題を解決した。システム構築では、上記ブランド戦略実現のために、関連部門の知見を引き出し、全体最適を考慮して要望をまとめるという、情報システム部門としての新しい役割を実現した。さらに、上述したように、今後はユーザー部門に寄り添い、継続的にシステムの価値を高め続ける。

 かつて情報システム部は、担当部門の出す要件を実現すればよかった。しかし、昨今のITの発達は、多くの可能性とリスクを秘めている。さらに、リターンを得るまでの不確実性が増している。そこで、ITによって何ができるのか、情報システム部が積極的にユーザー部門に発信していかなくては、ビジネスに貢献するシステム化は難しい。そして、企業戦略、ブランド戦略の達成支援には、複数部門をまとめ、更に情報システムとしての全体最適を達成することが必要になる。

 そこで住友生命では、情報システム部門の企画力、アーキテクトとしての力を高めている。企画部門を大阪から東京に移し、ビジネスとのより緊密な関係を築いた。システム子会社(SLC)に開発保守を自立的に推進できる体制を整え、情報システム部の人員を、企画へシフトした。

 また、全体最適なシステムの実現には、既存のシステム資源を最大限活用し、妥当なコストで安定運営することも重要だ。そこで、EAによって、全体最適化にも着手した。現在は、まずインフラから開始。サーバ統合などを進めている。

情報システムを、経営に対してわかりやすく示す

 情報システム部では、上述の企画力強化と共に、情報システムを、経営に対して、客観性・透明性を持って、わかりやすく示すことを進めている。

 4年前に、CIOである高松専務のリーダーシップで、「IT戦略委員会」を発足させた。経営会議前に、情報システム、経理、企画の担当役員と、販売部門、事務部門など関連部門の部門長で、予算枠の編成、主要案件のレビューを行っている。これを実現するために、企画から振り返りまでの一連の投資管理プロセスを確立した。また、透明性を担保するために、コンサルティング会社を活用し、情報システム部が立てた予算、見積もりの妥当性を評価する仕組みも整えた。

 情報システム部では、コンサルタントも活用する。たとえば、EA実現のための既存システムの棚卸し、冗長構成の見直し、サーバ統合の最適なセグメント化などで、提案を求めた。また、インターネットセキュリティの最適化でも、外部から助言を得ている。このようなコンサルタントの活用は、外部からの視点を得て、自立改善作用の源泉とするためだ。自分の力を過信しては、よいシステム、妥当なコスト構造は作れない。自社内で理解されない。

 IT戦略委員会は、このような一連の改革のエンジンとなっている。同委員会では、今後、システムの支援によって実現する中長期的な改革課題にも積極的に取り組んでいく。

 では、次ページより、今泉氏との対談インタビューの全体を紹介しよう。

【次ページ】未来応援活動推進のため、営業職員3万人の端末を一気にモバイル化
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