• 2009/02/03 掲載

【林雄司氏・シンスケ横山氏インタビュー】ネットとリアルをつなげることで生まれた新しい空間(3/3)

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大切なのは「表現への飢餓感」


【コラム】【林雄司氏・シンスケ横山氏インタビュー】ネットとリアルをつなげることで生まれた新しい空間
シンスケ横山氏と林雄司氏
――最初に横山さんが「しんどい」と言われていましたよね。ネットのコミュニティで活動している人たちに声をかけても、なかなかイベントが実現しない。でも、それって彼らはリアルが苦手だから、という理由だけではないような気がするんです。ネットのコミュニティの人たちはしょっちゅうオフ会をやっているわけですし。

横山氏■
オフ会とイベントって対極にあるものだと思っているんですよ。イベントはお客さんに対して責任を取らなければいけない。オフ会はみんな好きに楽しめばいいんですけど、それをイベントにしようとするとハードルが高くなりますよね。他人に見せるものが必要になってくるわけですから。

林氏■知らない人が来て、知らない人にでもわかることをやらなければいけない。それはオフ会というベクトルではないですよね。

――ちなみにそれはいつ頃気がついたんですか?

横山氏■
最近気がつきました(爆笑)。みんなネットを使ってコミュニケーションを楽しんでいたりするんだけど、その一方で表現に対する飢餓感はあまりないんだなぁと思いました。

林氏■飢餓感のある人は、昔はミニコミを作っていて、それからインターネットに発表の場を移したんでしょうね。ブログやmixiはやっぱり日記ツールに近いんですよ。何かを発表したい人向けにはできていない。

――何かを話したい、伝えたい、表現したい、ということへの飢餓感がコミュニケーションによってなんとなく充たされてしまっている。もちろん飢餓感を抱いている人たちはまだ大勢いるんでしょうけど、現時点ではSNSという大きな渦に巻き込まれてしまって、見えづらくなっているような気がします。

林氏■
コミュニティがあると、一生懸命発信しなくても安心感が生まれてしまうんでしょうね。

横山氏■でも、ちゃんと管理されているコミュニティの人に声をかけると、「あ、一度イベントやってみたかったんです」というレスポンスが返ってくるんですよ。この人はすごく発信したいんだ、この人はネットの世界で交流しているだけでいいんだ、という見極めはイベントを200本行っていくうちにできるようになりましたね。

――共通の趣味をもとにコミュニケーションを楽しみたいけど、人前で何かを発表するには至らない。そんな人は大勢いると思います。

横山氏■
「でもさぁ、コミュニケーションしようよ……」、って言うのが俺の役目なんです。それ端から見たらタダのめんどくさいおっさんですが(笑)。コミュニケーションを続けていくうちにいろいろなつながりができて、何かを形にしたくなる。自分が面白いと思うことを他人に伝えたい、とか。そこで表現に対する飢餓感が生まれるんだと思います。そんなときにカルカルがあるよ、と声をかけていきたいですね。

――では、最後に2009年におふたりがカルカルでやっていきたいことをお聞かせください。

横山氏■
実は今までやってきたことは、スクリーンを使ったプレゼンなんじゃないかとまた今頃、気がついたんですよ(笑)。実はみんな、会社でプレゼンやっていたりするんですよね。この前、「100人の社長」というイベントで大小さまざまな会社の社長さんに集まってもらってそれぞれプレゼンをしてもらったんです。ぜんぜん業種も違う社長さんたちなんですけど、やっぱりおもしろい。たとえば「このヒット商品を生むためにはこういうプレゼンをしたんですよ」とか。そういったプレゼンイベントもこれから続けていこうと思ってます。

林氏■あと、思い込みイベントを2月か3月にやりたいですね。道端で大勢が1方向を見てると、なんかつられて見ちゃうじゃないですか。あれも一種の思い込みですよね。ウィンナーを作るのがいかに大変かというウソのスライドをえんえんと見た後、すごく貴重なものだと思い込みながらウィンナーを食べたり。『ドラえもん』でビンの王冠をすごく貴重なものだとみんなで思い込むエピソードがあるんですけど、そんな感じのイベントをやってみたいです。

――オタクとかサブカルという枠を超えて、みんなで参加できる敷居の低いイベントをやっていきたいということで林さんと横山さんの方向性は一致しているわけですね。

林氏■
ふらっと1人で来た人が楽しめるといいですね。1人で来ても、さみしくないようなイベント。

横山氏■それは永遠で普遍のテーマですね。端っこでたたずんでいる君に向けてイベントやってるんだぞ、と。あと、前のインタビューと同様、「お台場は近い」ということをもう一度強調しておきます(笑)。

(執筆・構成:大山くまお

●シンスケ横山:ニフティ サービスビジネス事業部ポータル編成部所属。
ロフトプラスワンでの多くの企画の経験を活かし、現在「TOKYO CULTURE CULTURE」で活躍中。
ブログ:「スタッフ日記」

●林雄司:ニフティ サービスビジネス事業部ポータル編成部所属。
「デイリーポータルZ」などで多くのコンテンツを作成。「TOKYO CULTURE CULTURE」の企画にも携わっている。
サイト:「デイリーポータルZ」

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