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HKT48脱退後、炎上アイドル時代を経て、2015年以降わずか3年で「ライブ配信のインフルエンサー」として確固たる地位を確立した菅本裕子(以下、ゆうこす)氏。 その成功の裏には、考え抜かれたターゲット層の設定と、自分をプロデュースする独自の戦略がありました。現在、そのノウハウを生かし、8500人のライブ配信者(ライバー)の育成・マネジメントを手掛ける会社を経営するゆうこす氏に、「自分を売る」ことを通じて培った「人を売るテクニック」の数々を教えてもらった。
ゆうこすはどう売れた?秀逸すぎる「ぶりっこ市場の発見」
──2011~2012年のHKT48時代に経験した挫折、炎上アイドル時代を経て、2015年以降、3年間で急激に「ライブ配信のインフルエンサー」のポジションを確保していきます。単に配信市場の黎明期からライブ配信をやっていたというだけではこれほどのポジションに上り詰めることができないと思いますが、どのような戦略があったのでしょうか?
菅本裕子(以下、ゆうこす)氏:講談社が主催するオーディション「ミスiD2016」で準グランプリを受賞したことがきっかけとなって、そしてSNSを主戦場としたことで自己プロデュースにハマっていき、客観的に「タレントとしての自分」を眺めるようになるんです。「私なんかを応援して楽しいのかな?」というネガティブなことばかり考えていたタイプだったのに、「自分はとにかくモテたい人間なんだ」「愛されたい人間なんだ」と考え方が変わるんです。そうやってポジティブに発信していくうちにファンが付くようになっていきます。
その後、2017年4月にはじめての著書『#モテるために生きている!』(ぶんか社)という本を出すのですが、その頃から「モテ」というフレーズを使うようになりました。マルチタレントとして、男女問わず誰にでも人気の何でも屋さんになっちゃったら、芸能界ではやっていけても、ネットの世界だと通用しないだろうなと思ったんです。
私のこれまでの経歴を踏まえると、普通に考えて“元アイドル”として男性向けの配信にしていくものだと思うんですが、ABテストのように毎日配信しながらマーケティングして見ると、共感の反応が多いテーマが如実に数字で表れてくるんですよね。
その結果を見ると、私の場合は男性ウケよりも女性ウケが良くて、特に「ぶりっ子したいけど、クラスの女子の目が気になってできない」といったような、ニッチな層にウケていることが分かったんです。なにせ北九州の男尊女卑の傾向が強い街で生まれ育った私が配信しているので、そうした層に刺さるのかもしれません(笑)。
──毎日配信をしていって、「本当の自分の強み」に向き合い続けた結果、見出した感じですね。
ゆうこす氏:私自身の思想としては「皆なんでぶりっ子しないの?」ってタイプの中学・高校時代だったんです。クラスに2~3人はいる、天然でめちゃくちゃモテる子ではなく、あざといメイクをしてぶりっこをしたい子たち。「モテたいけど、モテたいと表立って言えない」女の子に向けて、「ぶりっ子で別によくない?」と開き直った感じで発信していったら、共感が集まり、皆さんが私のことを広めてくれるようになったんです。
自身の存在を広めるために、覚えてもらいやすい言葉の発明も必要だと考えて、よく使う慣れ親しんだ言葉の組み合わせで「モテ」×「クリエイター」から「モテクリエイター」という肩書を名乗るようになりました。この肩書がハマって2017~2018年はファンが増えていったように思います。
──秀逸ですね。急激にマーケターとしてのセンスが開花しているようにも感じます。同じ2017年に2冊本を出されてますね。
ゆうこす氏:そうですね、実は最初の本も、自分から売り込んで本にしてもらったんです。もう炎上の代名詞になっていて、私のことをどのメディアも扱い使いにくいだろうなと思っていたところだったので、色々な会社に頭さげて「本作ってくださったら、絶対手売りで売ってきますんで!」とお願いして回って出版にこぎつけたのが、先ほどお話しした「モテ本」です。
2冊目はちょっとずつ売れてきた時期ということもあって、KADOKAWAさんから「もう1冊同じテーマでどうですか?」とお声がけいただきました。企画について相談する中で、前作と同じく「モテ」を扱うよりは「女の子に刺さって、SNSの使い方を教えるような本を作りたいです」というお話をして、そうして完成したのが2017年9月の『SNSで夢を叶える ニートだった私の人生を変えた発信力の育て方』です。
これはビジネスメディアに売り込もうと思ったので、最初からマーケティング観点を入れた本を作りにいきました。
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