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  • 2023/10/10 掲載

6年で“5.87倍”増の「GX求人」、需要急増の経緯と各社が備えるべきこととは?

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サステナビリティへの意識の高まりに伴い、各社の「GX(グリーントランスフォーメーション)」への取り組みも過熱し始めています。新しい分野であるGXは関連する求人が多岐にわたるため定義が難しく、定量的なデータとして取得するのが難しい状況でした。今回、『リクルートエージェント』の求人データから独自にGXに関する求人を定義し、テキストマイニング技術を用いて定量分析を実施。GX求人に関する動向と今後の見通しについて解説します。

執筆:リクルート 羽田野 直美

執筆:リクルート 羽田野 直美

大学にて電気化学を専攻し、電池メーカーに入社。電池の研究開発に従事。2004 年、リクルート(旧リクルートキャリア)へ転職し製造業領域担当のキャリアアドバイザーに。2010 年より製造業(化学、環境・エネルギー、電機)を中心としたハイキャリア・グローバル領域のコンサルタントを務めている。2018 年からは製造業に限らず、「環境・エネルギー・サステナビリティ」を中心に、リーダーからディレクタークラス、また高度専門職のキャリアコンサルティングに従事。国家資格キャリアコンサルタント。

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「グリーン戦略を推進する人材」とは?
(Photo/Shutterstock.com)

「GX人材」は、需要の高まりに供給が追い付かない状態

 「5.87倍」──。これは、直近6年間の「GX(グリーントランスフォーメーション)」に関わる求人件数の伸びを示す数字です。

 今回取り上げる「GX求人」は、リクルートの転職支援サービス『リクルートエージェント』の求人の「求人タイトル」または「仕事の内容」から、経済産業省がGXについて示す「カーボンニュートラルを目標にした経済社会システム全体に関わる仕事内容や業務内容に準ずるもの」を抽出しています。

 上記に該当するキーワードを約250設定し、その上で、今回のGX求人の定義に合致しない仕事内容や業務内容とみなされたものを除外し、「GX求人」を抽出しました。
<キーワードの一例>
カーボンニュートラル、脱炭素、太陽電池、再生可能エネルギー、バイオ燃料、GX、電気自動車、燃料電池、GHG、バッテリーマネジメントシステム、Scope3、ZEH

 リクルートエージェントにおけるGX求人の推移をみると、2016年度を1とすると2022年度では5.87倍へ拡大していました。特に2020年度からの伸びが顕著であり、今後も求人は増加すると見込まれます。

 一方、GX求人への転職者は「3.09倍」にとどまりました。つまり需要に対して人材の供給が追い付いていない状況です。

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リクルートエージェントにおけるGX求人の推移(業界別)
(出典:リクルートエージェント)

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リクルートエージェントにおけるGX求人の推移(職種別)
(出典:リクルートエージェント)

「GX人材」を各社が求める背景と、具体的な職種とは

 世界的なサステナビリティの流れ、そして政府・官公庁が掲げる方針を受け、企業ではここ数年、「グリーン推進部」「カーボンニュートラル推進室」などの組織を立ち上げ、人材を募集する動きが活発化しています。専門部署を設けないまでも、既存のコーポレート部門や事業部門に担当者を置くケースも増えています。特に採用に意欲的なのは、エネルギー(化学、公共インフラ・官公庁含む)、電機、ITなどの業界です。

生成AIで1分にまとめた動画
 採用職種は企画系から技術系まで多岐にわたります。企業としてはこれまでにない取り組みであるため、異分野から人材を迎えるケースも多数。また、転職市場に「経験者」がほとんど存在しないポジションでは、「興味関心の強さ」+「何らかの専門性やスキル」があれば採用に至るケースも多々あります。

 求職者にとっては思いがけない業界や企業に活躍のチャンスが広がっている一方、企業にとっては「活躍可能性がある人材」「素養がある人材」を見極めていくことが重要となっているといえるでしょう。

 なお、GX推進を担うポジションでは、国際NGO・NPO、国際機関出身者が民間企業に転職して活躍している事例も見られます。

 GXに関連する事業は、1~2年ですぐに成果が出るようなものではありません。だからこそ、取り組む企業とそうでない企業では、数年後に大きな差が生まれてくると予測できます。

 長期プロジェクトが多くを占めるなか、人材が採用できず事業が進まなければ、日本は国際社会からどんどん遅れ、取り残されていくでしょう。いかにGXに関わる人材を増やしていけるかが喫緊の課題となっています。

 ここからは、これまでのGXへの取り組みと求められる人材像の変遷をまとめてみました。 【次ページ】2016~2023年までの「GX求人」の経緯と展望、各社が備えるべきこと

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