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今はインターネットで必要な情報を探すために「ググる」のは当たり前。したがって、SEO(Search Engine Optimization:検索エンジン最適化)は企業にとっても重要な取り組みだ。しかし、今後はパーソナルAIアシスタントの役割が増すという予測が増えてきた。ビル・ゲイツ氏も「将来のAI市場で競争優位に立つのは、パーソナルAIアシスタントを開発する企業だろう」と指摘。今後、SEOは時代遅れになり、代わりに「AIエンジン最適化」が重要になるのか。そうなる未来に向けて、企業はどのような対応が求められることになるのだろうか。
ゲイツ氏、パーソナルAIアシスタントに期待
生成AIの登場によって、消費者のインターネット利用の様相が変わりつつある。
たとえば、プラグイン利用によりインターネットにアクセスできるようになったChatGPTを使えば、グーグルで検索せずとも、最新の料理レシピ、最新ニュース、ショッピング情報などを入手できるようになった。ChatGPTだけでなく、Bing、You.comなどでも同様に、プロンプトにリクエストを入力すると、引用・出典元付きであらゆる情報を提示してくれる。
AI業界における起業家や投資家らは、今後さらに開発が進むと、AIは「パーソナルAIアシスタント」に進化を遂げ、プロンプトに入力しなくても、AIアシスタントが個人のニーズを予測し、自動でWeb上のあらゆる情報を調べ、ニーズを満たす情報を提示してくれるようになると予想している。
たとえば、ビル・ゲイツ氏は、2023年5月にゴールドマン・サックスとSV Angel主催のAIイベントで、「将来のAI市場で競争優位に立つのは、パーソナルAIアシスタントを開発する企業だろう」との
予想を展開。(今は不完全なものも多いが)完全なパーソナルAIアシスタントが登場すれば、消費者は検索サイトを利用することもなく、ビジネス向けの生産性サイトの利用もなくなり、さらにはアマゾンでの買い物もしなくなるだろうという。人々の行動を根本から変革するわけだ。
では、パーソナルAIアシスタントの開発競争において、スタートアップとテック大手のどちらが勝者になるのか、ゲイツ氏は、それぞれが50%ずつであると述べている。その上で、同氏はマイクロソフトがこの領域に参入しなければ、失望するだろうと付け加えた。
一方、この領域では、ディープマインドの共同創業者であるムスタファ・スレイマン氏らが立ち上げたInflection AIを含むいくつかのスタートアップに関心を寄せているとも述べている。
AIエンジン最適化とは
現時点ではまだ存在していない「完全な」パーソナルAIアシスタントであるが、ゲイツ氏が指摘するようにInflection AIなどの企業が開発に向けた動きを本格化させており、近い将来登場する可能性が高まっている。
パーソナルAIアシスタントが登場する未来を見据えて、新たな議論が巻き起こりつつある。
それは、SEOに代わり、「AIエンジン最適化」が必要になるだろうという議論だ。
SEOとは、Webサイトのコンテンツとクローラビリティの要素を最適化して、検索エンジンの結果ページで最も高い順位を獲得するための人間を対象としたプロセス。インターネット時代、企業にとって必須のプロセスであり、SEOのために多くの資金を費やす企業も少なくない。
現在はグーグルが検索エンジン市場で大きなシェアを占めているため、SEOといえば暗黙に、グーグルのクローラーが読み取りやすく、またグーグルのランキングアルゴリズムで高評価となるようなプロセスを意味する。
過去10~20年にわたり、こうしたSEOの取り組みがさまざまな企業、個人、組織などで実施されてきたが、人間の代わりにAIが情報を検索するようになると、人間を対象とした既存のSEOプロセスは意味をなさなくなってしまう可能性がある。
一部の専門家らは、生成AIが生成する応答に情報を表示させるために、広告主が資金を投入する仕組みが登場し、広告費の多くがAIエージェントや基盤モデルに流入する可能性があると指摘する。
VentureBeatによると、業界アナリストのジェレマイア・オワヤン氏は、今後AIの生成応答内に「スポンサードセンテンス」が登場したり、生成されたコンテンツの隣に広告が表示されたりすることもあり得るとの予想を
展開している。
オワヤン氏は、もしこうした状況が現実となった場合、特にマーケターにとっては、既存のSEOではなく、AIエンジン最適化が必須になると指摘。これまでのようにクローラーを待つのではなく、特に基盤モデルに対しリアルタイム情報を提供するAPIを作ること、またブランド企業が顧客やバイヤーと対話する自社ブランドAIを持つことが重要になると説明している。
【次ページ】変革後のマーケティングファネル「4つの段階」
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