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ビジネスでAI(人工知能)の活用が必要不可欠になってきました。今年初頭からは、ChatGPTやStable Diffusionなどの生成AIが登場し、これまでとは比較にならないくらい「AIの現場活用」が見込まれています。一方、生成AI市場はまだ新しいマーケットのため、多くの人々がどのようなサービスがあるのか、正確に知ることが難しいのではないでしょうか。本稿では、企業のAI活用を推進する立場から国内外の生成AIツールをまとめたカオスマップ作成した木内 翔大氏が、現状を解説します。
「生成AI」の時代が到来、AIのビジネス活用が大きく進捗
最初に、生成AIの活用状況・活用検討状況をみていきましょう。帝国データバンクが実施した「生成AIの活用に関する企業アンケート」調査によると、全国の企業のうち9.1%が生成AIを「業務で活用している」と回答し、52.0%が「業務での活用を検討している」と回答。合計で61.1%が生成AIの利用を考えていることがうかがえます。
また「生成AIを活用している企業」の中には、「大企業」が13.1%と最も多く、次いで「中小企業」が8.5%、「小規模企業」が7.7%と続いています。つまり企業の規模が大きいほどAIの活用率が高いことを示しています。
生成AIの現場活用が進む背景、「4つの観点」
企業において生成AIの現場活用が進む背景を4つの観点から解説します。
- 生産性の向上とコストの削減
- 顧客満足度の向上
- クリエイティビティの促進
- AIの民主化
・生産性の向上とコストの削減
生成AIは企業の生産性を向上させ、コストを削減する力強いツールとなります。ルーティンワークや高度な作業の自動化を通じて効率化を図りながら、人間がより重要な課題に専念する時間を確保します。たとえば、生成AIは大量のデータを分析し、レポートを自動生成したり、マーケティングコンテンツを作成したりすることが可能です。企業は効率化によりコストと時間を節約し、企業全体の生産性をを上できます。
・顧客満足度の向上
カスタマーサービス領域でもその効果を発揮します。AIチャットボットは24時間365日、顧客の問い合わせに応答しその問題を解決できるため、レスポンス時間が大幅に短縮されます。 また個々の顧客の行動や嗜好を学習し、パーソナライズ化されたメッセージを生成します。これにより、顧客とのエンゲージメントを深め、顧客満足度を向上させることが可能です。
・クリエイティビティ
生成AIは人間のクリエイティビティを刺激し、それを補完します。AIは無数のアイデアやデザインの提案を迅速に生成し、人間のブレインストーミングやアイデアの開発を助ける役割を持ちます。また、AIは人間が見落とす可能性のあるパターンを発見したり、新たな視点を提供したりすることができます。クリエイティブなプロセスを豊かで多様なものにし、高品質なアウトプットを生むための新たな道筋を提供します。
・AIの民主化
AIは今や「作る時代」から「使う時代」へとシフトしています。初期のAIは、専門の技術者や大規模企業がAIを作ることに主眼が置かれていましたが、現在ではAIツールが広くアクセシブルになり、誰でも容易に使うことが可能となりつつあります。
企業での生成AI採用が進むことで、個々がAIについて理解を深める機会を増やし、その恩恵を広範囲に享受できるようになります。
これにより個人が自身の作業を効率化し改善するだけでなく、新たな可能性を追求する道が開かれ、サービスや企業、そして社会全体に価値を還元することも期待できます。
・AIの民主化:AI NativeとEmbeddding AI
「AIの民主化」により、さまざまな業界や領域で生成AIツールが登場していますが、これらは大きくAI NativeとEmbedding AIの2つに区分されます。
AI Nativeとは、初めからAI技術を組み込むことで開発されたサービスを指します。その設計や機能の中心にAIを位置づけており、通常はデータ駆動型のアプローチを用いて問題解決を行います。深層学習を利用した画像認識ツールや、自然言語処理を基盤とした会話型AIなどが挙げられます。
Embedding AIとは、元々の機能や用途に更なる価値を提供するために、AI技術が後付けで組み込まれたサービスを指します。これらのツールは、AIが付加的な価値を提供する手段として使用され、製品やサービスの性能を強化したり、ユーザーエクスペリエンスを向上させたりします。例としては、AIを用いてユーザーの行動を予測するWebサービスや、AIを組み込んだ製品の製造ラインなどがあります。
【次ページ】「生成AIツール」を領域ごとに解説、全ツールへ紹介の付録も
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