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- 2023/07/29 掲載
コンプラ「ガン無視」のビッグモーター不祥事、その陰で見過ごせない「3つ」の大問題
大関暁夫のビジネス甘辛時評
なぜこれまで問題にならなかったのか
ビッグモーターの不正請求疑惑は、1年ほど前に雑誌メディアなどで話題になっていました。断続的な報道が続く中で損保大手3社からの要請もあり社内調査を行いますが、この内容を不満とした同3社が第三者による厳正な調査を求め、今年1月に外部専門家による特別調査委員会が組成されました。今般、その報告書が公表されたことで問題の大きさ、根深さが明らかになっています。これだけ大きな不祥事が、前年から雑誌、ネットで騒ぎになっていたにもかかわらず、今日に至るまで社会問題化してこなかった背景には、新聞報道の遅れがありました。
日本経済新聞が本件を大々的に取り上げたのは、ビッグモーターが特別調査委員会の報告を受けて一部不正を認めた7月8日付紙面でした。他紙も同じく、昨年来ビッグモーターの検査不正問題などの記事化はあったものの、本件の大々的な取り上げには至りませんでした。
新聞の公的な役割からすれば、少なくとも特別調査委員会の組成が公表された今年1月30日時点で、本格的な取材に着手すべきだったのではないかと思うところです。
「広報がいない」を盾にした?
報道の初動が遅れた原因として、ビッグモーターが全国約300の店舗、従業員6000人、年商7,000億円の大企業でありながら、非上場であることが隠れ蓑になっていたのではないかと推察されます。同社は「広報セクションがない」と公言し、それを口実に経営に関する重大問題発生に際しても一切口をつぐんできたフシがあります。非上場のため、経営陣が公の場に姿を現す機会もありません。
当事者が口を開かないものは記事にしづらい、そんな新聞の消極姿勢も発覚を遅らせた一因と言えるのではないでしょうか。特別調査委員会の報告を6月21日に受けながら公表が7月7日にまで延びたのは、新聞報道の外圧がない同社が公表を拒み、委員会と損保各社からの強い要請で渋々公表に至ったのだといいます。
もし、このまま報告の公表がなされなかったならば、ビッグモーターはまんまと逃げ切っていたかもしれません。本来は大手メディアがこじ開けてしかるべきビジネスの闇を放置し、多くの一般市民が被害を被っていた大問題が危うく闇に葬られていたかもしれないのです。社会の公器たる新聞各社の本件への対応の鈍さは、猛省すべきであると考えます。 【次ページ】損保との「持ちつ持たれつ」の関係とは
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