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  • 2023/07/18 掲載

マイクロソフトやグーグルらが強化、人事・採用で生成AIはどう活用されているのか?

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メールやマーケティングの文章作成などでの活用が始まっているジェネレーティブAI(生成AI)だが、リクルーティングなどの採用領域でも利用が広がりつつある。しかし米国では、採用に関して、差別や偏見を違法とする厳しい法律が存在し、採用プロセスでAIを利用することで、訴訟につながるリスクもある。ここでは人事・採用とAIにまつわる最新議論をお伝えする。
執筆:細谷 元
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マイクロソフト、IBM、グーグルらが人事分野で生成AIを積極提案している
(Photo/Shutterstock.com)

人事・採用における生成AI活用

 生成AIの利用を禁止する企業がある一方で、進んで活用する企業も存在する。現時点では、マーケティングの文言作成やEメールの草稿作成など、リスクが比較的低い領域での利用が多いようだ。

 そんな中、人事やリクルーティングなど雇用関連分野でも、生成AIを活用する試みが開始されつつある。人事に特化したAIツールの登場も大きく影響している。

 人事テックに詳しいHR Diveが2023年5月11日に報じたところでは、マイクロソフト、IBM、グーグルクラウドが、それぞれのエンタープライズクライアント向けに、新たな自動化とAI機能を発表した。求人の作成や掲載、潜在的な候補者の特定や連絡、従業員からの要求管理、個々の従業員の学習プログラムの生成などの自動化を可能とする新機能だ。

 また、求職・求人で広く活用されているビジネスSNSであるリンクトインも5月17日、同プラットフォームのリクルーター向けに、求職者への個別メッセージを自動作成できる生成AIツールを導入することを発表した。AIによって生成されたメッセージは、まず米国と欧州の一部ユーザー向けに配信され、6月からより広範囲での展開が予定されている。

 発表によれば、リンクトインのAIメッセージアシスタントは、候補者のプロフィール、求人の説明、企業の採用担当者からの情報を取得し、個別メッセージを作成することができる。また、AIを使用して、推奨マッチング機能の改善や採用ツールにおけるスキル検索精度を高める方針で、今年中にはスキルマッチと履歴書検索ツールも導入する計画という。

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人事・採用における生成AI活用例

求職側でも増える生成AI利用

 企業の人事部門やリクルーティング企業での生成AI活用が進みつつある状況だが、これに先んじて生成AIを利用しているのが求職者だ。

 BBCは4月24日の記事で、求職者のChatGPT利用が増える中で、採用プロセスが変化する可能性について論じている。求職者側でカバーレターや履歴書作成、また採用マネージャーへのメール作成でChatGPT利用が急増、これが採用側の評価プロセスにも影響を及ぼしつつあるという。採用マネージャーは、採用候補者がすでに生成AIを利用していることを認識しており、既存の候補者評価手法から新しい方法での評価を取り入れている。

 コンサルティング会社Randstadのグループマーケティングディレクターであるアダム・ニコル氏はBBCの取材で、時間に追われる採用マネージャーは候補者が作成したカバーレターとAIによる生成物を区別することは難しいと述べる一方、候補者が生成AIを利用すること自体は、不正行為ではないと述べている。

 ニコル氏によると、採用マネージャーの伝統的な候補者評価方法の1つとして、カバーレターによる評価があるが、これはすでに廃れている評価方法であり、また履歴書においても目を通すのは10秒ほどで、候補者のパーソナリティを評価する手段としては、時代遅れになりつつあるという。

 ニコル氏は、採用マネージャーの多くが候補者のパーソナリティを把握するため、ソーシャルメディアやリンクトインプロフィールを見る傾向が高くなっていると述べている。 【次ページ】Workdayに集団訴訟、州レベルでのAI法規制が続々
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