- 2006/06/05 掲載
【連載】ITと企業戦略の関係を考える[第4回/全5回]
ITの戦略的価値に関する議論
1978年 3月、名古屋工業大学情報工学科卒、
同年に通産省に入省、機械情報産業局情報政策企画室長、
JETRO New York センター産業用電子機器部長、
情報処理振興事業協会(IPA)セキュリティセンター所長、
早稲田大学 大学院 国際情報通信研究科客員教授などを経て
2003年9月から株式会社 富士通総研 経済研究所主任研究員。
おもな著書として、『ネットバブルの向こう側 ECビジネスの未来戦略』
『ソフトウェア最前線』(ともに(株)アスペクト)などがある。
競争優位をもたらすものは何か
ITベンダーやIT系コンサルタント、企業のCIOはもちろん、一部の企業経営者は競争優位を獲得するためにITをいかに活用するかという問題に正面から取り組んでいる。彼らの多くは、ITの戦略的重要性を信じ、先端的なITを導入することによって、他社との差別化を図り、持続的な競争優位が得られると考えている。しかし、カーはきっぱりと、もはやITにはそうした戦略的価値はないと主張している。
おそらくここが”IT Doesn’t Matter”論争でもっとも議論が激しい部分だろう。
持続的な競争優位の源泉となるものはどのようなものなのかとカーは問いかける。それは普遍的なものではなくて、希少なものでなくてはならない。ライバル企業が持っていないものを持っているか、ライバル企業ができないことを実行できなければいけない。しかし、ITはコモディティ化し、誰もがそこそこの金額を支払えば入手できるものになってしまった。だからITは競争優位の源泉とはなりえない。それがカーの主張である。
したがって、ITがコモディティ化する前であれば、ITは競争優位をもたらす源泉になり得たのである。カーが例に挙げるのは、医薬品販売企業のアメリカン・ホスピタル・サプライ(AHS)が、顧客の病院向けに開発したASAPという受発注システムや、アメリカン航空の座席予約システムSabre(セーバー)などの情報システムである。
これらのシステムを開発するためにAHSやアメリカン航空は巨額のIT投資を行っている。しかし、ライバル企業が同様のシステムを開発して普及させるまでに相当の時間を要したため、両社はこの間に大きく業績を伸ばすことができ、そのIT投資額を十分に回収することができたのである。
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