• 2005/08/25 掲載

会計業務を情報化する【第1回/全2回】(3/3)

意思決定の迅速化と信頼性を向上させる会計ソフト導入の提案

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(4)誤データの回避
 中小企業の業績検討会議に参加していると、おかしな状況を眼にすることがある。経理部が作成した管理サイドの売上・利益データと営業部長が持参した部門管理用の売上・利益データが食い違うのである。これは経理は経理で資料を作成し、営業は営業で独自に資料を作成するところに原因がある。
 会計データがPCに入っており、社内LANで各部門とつながれてさえいれば、営業部はサーバに蓄積されているデータをダウンロードして部門独自の資料を作成することができる。こうすれば同じ項目でありながら数値が違うということはなくなる。議論はかみ合い、無駄な時間はなくなるだろう。
 しかも、部門管理資料用にデータを手入力している場合には、必ずどこかで入力ミスが生じている。誤データを回避するにも、会計情報のデータ化は必要である。

(5)営業分析の実施
 会計データを使って、営業分析をすることができる。前述のように、会計は企業活動の結果を表したものなので、これを分析すれば結果に至るまでのプロセスである営業活動や生産活動の分析も充分に可能だ。
 図4は会計データを使った営業分析の例である。グラフをよく見てみると、粗利額が高いが粗利率が低い拠点があることが分かるだろう。また、粗利額は小さいのに、利益率が高くしっかりと利益を確保しているところもある。粗利の額は売上高と対応している。すなわち、そもそも市場が大きいのだ。ひとつの会社であれば、同じ商品を扱い、同じように売っているのならば、本来は粗利率は同じになるはずである。ところが違う。上顧客を確保している営業拠点は利益がとれるのだ。
 図4はひとつの例にしか過ぎない。営業会議や生産会議を行う際に、データに基づかない報告をしていては生き残るのは難しい。いくつかの企業の報告の様子を見ていると、現場での印象の強いことを中心に報告をしているように見受けられることがある。それが真の原因かどうかは、誰も分からないのである。

  図4 会計データを使った営業分析

(6)他データとの統合的判断
 会計データと営業日報を組み合わせて業績を改善した企業がある。以前は会計データだけで業績管理をしていたのだが、年度末近くになった時に最後の追い込みがきかなかった。そこで営業日報データと会計データを組み合わせて管理をすることにした。営業日報データには、顧客別の商談の進捗状況が記載されている。そこで、年度の売上予算を達成するために、営業日報データから受注間近の案件を検索・抽出し、その顧客を重点的に訪問するように営業部長が指示を出した。その結果、短期間のうちに受注が相次ぎ、見事に予算をクリアしたのだ。

(7)迅速な外部報告
 中小企業でも東証マザーズや大証ヘラクレスに上場公開することができ、金融機関に頼らずに直接資金を調達することが可能になっている。これらの市場を中心として、一部・二部上場の市場でも、四半期ごとの決算報告が求められるようになりつつある。四半期報告ともなれば、3ヶ月に1回の決算を行うことになる。当然、手作業ではタイムリーな外部報告ができなくなってしまう。
また、上場公開していない企業も、借り入れをしている金融機関に毎月業績を報告しているだろう。月次報告が迅速で正確であれば、金融機関からは「あなたの会社の管理水準は高い」と判断される。

 経営の効率化とは、予算を削減することではない。社内の無駄やもったいない業務をなくしていくことから始まる。あなたの意思決定のレベルを上げ、同時に無駄を排除するための最低限のツールとして、会計ソフトの導入と活用をよくよく検討されることをお勧めしたい。

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