• 2005/08/25 掲載

会計業務を情報化する【第1回/全2回】(2/3)

意思決定の迅速化と信頼性を向上させる会計ソフト導入の提案

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会計業務情報化のメリット

 会計業務を情報化するメリットは、「早い、うまい、安い」だけではない。以下の8点を挙げることができる。

(1)迅速な対処
 ソフトバンクが雑誌部門で日次決算を行っていたことは、有名な話である。パソコンが販売された当初は、メーカー別にソフトが作られていた。今のように互換性がなかったのである。また、メーカーごとに設計思想が異なり、特徴も違うために、どの機器が売れていくのかまったく見通すことができなかった。当然PCに関する情報も限られており、ユーザーはソフトバンクが出版する月刊誌で最新情報を収集し、どのPCを購入するかを考えていた。多様なメーカーのPCに対応すべく、雑誌の種類も多かった。パソコン黎明期のソフトバンクは今のような巨大企業ではなかったため、赤字を出すわけにはいかない。そこで、雑誌別に日次の損益概算を把握し、売れ行きが悪く1ヶ月後には赤字になりそうな雑誌があると、たとえ月中でも廃刊の決定を下していた。
 もしも月次業績管理を月に1回、しかも翌月の20日以降にデータが出てくるようであったら、もしかすると現在のソフトバンクはなかったかもしれない。迅速な業績の把握と対処は、不透明な業界では必須な条件だ。

(2)多角的な分析
 ロイヤルホストは、業績分析を多角的に行い、流行の移り変わりが激しく、顧客の好みによって売れ行きが左右されるレストラン業界で、健闘をつづけている。店舗別の損益を管理することはもちろんのこと、店舗横断的な管理のデータをとり、管理者を設置している。
営業拠点別の損益管理を行っている企業は多いだろうが、これだけでは充分とはいいがたい。これに加えて、主要顧客別・商品別、場合によっては営業担当者別の損益把握が欲しいところだ(図2)。企業の収益性は取引をする顧客によって左右されがちだ。常に値引きを要求してくる顧客との取引は、売価が抑えられるために利益が出にくい。値引き要請は厳しくはないが追加サービスを要求する顧客は、粗利益は確保できるものの、追加サービス分の費用が膨れて販売管理費を押し上げる。このような顧客は売価がある程度守られるために、見過ごされやすい。
 営業担当者ごとの損益計算書を作っていると、担当者の癖が分かる。つまり、値引きばかりしている気の弱い担当者や反対に強気で値引きに応じない担当者も見えてくるのだ。
  図2


(3)詳細分析も可能
 外国人を対象とした日本語学校業界というのは、利益が出にくい。質の高い教育をしようとすると、1クラス当たりの生徒数を少なくせざるを得ず、採算が悪化してしまう。ところが、利益を出そうとして1クラス当たりの生徒数を増やすと、充分な演習をすることができず、外国人生徒からの不満も増えて学生が集まりにくくなってしまう。この兼ね合いが非常に難しい。ある日本語学校では、教師からは短期間のうちに外国人が日本語を正しく使えるようにするため、1クラス3~4人にしたいという要望が出ていた。経営側は損益ぎりぎりの状態から脱し、早く借金を返済したいために1クラスの生徒数を増やすように求めていた。話は平行線だった。教師の給与が一人ひとり異なったり、1クラスを複数の教師が担当することもあり、誰が採算割れなのかが分からなかったのだ。そこで会計ソフトからデータをダウンロードして、教員別の採算表を作成した(図3)。この表を使えば、誰が赤字の原因かが白日の下に晒される。採算の悪い教師と個別に話し合い、見事に借金の返済をしてしまった。  もしもデータ化されていなければ、分析のためにさまざまなデータを再入力しなければならず、手数が掛かるために適切な答えを得ることはできなかっただろう。
  図3

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