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  • 2014/06/16 掲載

マイクロソフト 西脇資哲 氏が語るタブレット活用術、“働く力”を引き出すには?

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いつでも、どこでも利用できるスマートデバイスから安全・快適につながるモバイル環境が、営業、医療、教育、モノづくりなど、あらゆるビジネス現場の働き方を変えている。真のワークスタイル変革のために最も重要なものは何か――。日本マイクロソフトのエバンジェリストである西脇資哲氏が、働き方の3つのステップから解き明かす。

変化していく働き方をサポートするITを再検討すべき

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日本マイクロソフト
エバンジェリスト
西脇 資哲 氏
 従来の働き方は、決められた時間(Fixed Time)、決められた場所(Fixed Place)、決められたデバイス(Fixed Device)」のいわゆる「3F」を基本に行われてきた。それが現在では、いつでも(Anytime)、どこでも(Anywhere)、どのデバイスでも(Anydevice)の「3A」へと移行しつつある。

 こうしたワークスタイル変革が進む背景に、タブレットに象徴されるスマートデバイスの高機能化と急速な普及があるのは言うまでもない。ただ、デバイス視点のみでこのトレンドをとらえていると、本質を見誤ってしまう恐れがある。大塚商会が主催すプライベートセミナー「モバイルパワー2014」で講演を行った日本マイクロソフトのエバンジェリスト、西脇資哲氏は、次のように示唆した。

「タブレットありきでワークスタイル変革に臨んでも、成功は期待できません。ビジネス現場の目的やニーズをくみ取った上で、それを便利に実現する手段として最適なデバイスを導入すべきです」

 そもそもタブレットという概念そのものが、大きく変化している過程にある。現在のノートPCは、画面サイズ10~12インチのものが主流となり、薄型軽量化が進むとともにキーボードを取り外してタッチ操作で使えるモデルが登場している。一方で、スマートフォンの画面サイズは大型化していく傾向にある。このようにタブレット、ノートPC、スマートフォンといったデバイスの境界は、どんどんあいまいになっているのだ。

 さらには、「クラウドファースト」や「モバイルファースト」といった新しいシステム構築の考え方が企業に浸透していく中で、さまざまな業務を支えるアプリケーションの形態も大きく変わってきている。

 「一人ひとりの“働く力”を最大限に引き出すため、デバイスとITサービスを再検討する必要があります」と西脇氏は言う。


働き方で考慮しなければならない3つのステップとは

 西脇氏は、新しいデバイスとITサービスによって支えるべき仕事を、「コミュニケーション」「プレゼンテーション」「コラボレーション」の3つのステップで定義する。

 ステップ1のコミュニケーションは、メールの確認やスケジュールの確認などの作業を、どこにいても可能とするものだ。ステップ2のプレゼンテーションでは、SFA(営業支援)や電子カタログなどを活用し、外回りをするワーカーの機動力を高める。

「実際、いま講演を行っているこのセミナー会場でも私は、手元のデバイスからメールや予定を確認し、オフィスと同じように仕事を続行することができます。また、必要な資料を見ながら、こうしてプレゼンテーションを行っています」と西脇氏は語る。しかし、問題はその先にある。ステップ2までで、仕事が完了するわけではない。

「プレゼンテーションを行うためには、スライド資料などのコンテンツを作成しなければなりません。別の場所で活動しているチームメンバーの状況や案件の進捗を把握し、適切なアドバイスやサポートも行わなければなりません。ビジネス分析によって状況の変化を察知し、新しい施策を考え、実行する必要もあります」

 従来、こうしたステップ3の仕事をモバイル環境で行うためには、ノートPCを利用しなければならなかった。すなわち、ステップ2までしか対応できないタブレットでは、ステップ3との間で作業の連続性を維持できない“分断”が生じてしまうのである。

 ノートPC、タブレット、スマートフォンといった複数のモバイルデバイスを持ち歩き、仕事のステップに応じて使い分けなければならない現状は、ワーカーにとっての利便性の観点から決して好ましいものではない。また、エンドポイントが複数のデバイスに分散している状況は、管理を複雑化させてガバナンスを低下させるとともに、紛失や盗難などのセキュリティリスクが高まることも認識しておかなければならない。

Windows 8タブレットでワークスタイル変革を推進する先進企業

 「ワークタイル変革を実現するためには、ステップ1から3までの仕事を一貫してサポートすることができる、シンプルなデバイスとITサービスを選択することが重要です」と西脇氏は強調する。

 そこでマイクロソフトが注力しているのが、Windows 8タブレットならびにOffice365をはじめとするクラウドサービスだ。

 実際、この仕組みを導入することで、多くの企業がワークスタイル変革を実現しつつある。旧態依然とした営業スタイルや事務処理を刷新するため、約3万台という世界最大級の規模でWindows 8タブレットを導入した明治安田生命の事例も、そのひとつだ。

 現在、同社の営業職員は、このモバイルデバイスを持ち歩き、顧客に対して商品/サービスの説明や契約前後のコンサルティングを行っている。また、液晶パネル上で微妙な筆圧の違いを感知する、専用ペンを用いた電子サインを活用。積立配当金の支払いや契約者貸付などの手続きのすべてを電子化し、画面上に手書きサインするだけで処理できる仕組みを整えた。請求書類への記入や押印などの面倒な手続きを省略し、簡単・迅速に事務処理を行うことが可能となり、顧客からも好評を得ているという。

 こうした高機能による業務効率化とサービス向上もさることながら、同社がWindows 8タブレットを選択した最大の理由は、実は別のところにある。「明治安田生命がこれまで蓄積してきたWindowsの豊富な資産やシステム構築ノウハウを、スムーズにモバイル環境に展開できる点が評価されたのです」と西脇氏は言う。

 マイクロソフトのタブレット端末「Surface 2」を電子フライトパックとして採用し、約1万1,000人のパイトットに配布したデルタ航空も同様だ。同社がWindowsプラットフォーム上で運用しているトレーニングソフトウェアのサービスを、モバイル環境でシームレスに利用できることが選択の決め手となった。

 下着メーカーのピーチジョンも、新業態ブランドの自社店舗ネットワーク「YUMMY MART」を展開するにあたり、Windows 8タブレットを導入した。

 軽快かつ直感的なタッチ操作による商品説明で接客業務を革新する一方、バックヤードにおける発注処理や顧客情報の登録、ダイレクトメール作成など、既存の業務システムとも高い親和性で両立させることを目指した。このニーズをどうやって形にするかと検証を重ねた結果、Windows 8タブレットがベストな選択であると判断されたのである。

 「ワークスタイル変革を推進する上で最も大切なことは、ビジネス現場を直視することです。メールを確認できる、電子カタログを提示できる、SFAを使えるといった機能は言うまでもなく重要ですが、既存の業務システム、あるいはExcelやWord、PowerPointなどを使って行われている作業の延長線上で、実務をしっかりサポートしなければなりません。また、ビッグデータを使ったビジネス分析など、ますます高度化していくITサービスへのニーズにも応えていく必要があります」と西脇氏は語る。

 ソフトウェア資産をセキュアに継承していくことを義務付けられた「マイクロソフトの“責任”でもある」という西脇氏の言葉は、あるべきモバイル環境の構築に向けた強い意気込みを感じさせるものだった。

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