- 2024/07/03 掲載
アングル:米EV販売、第2四半期は予想超え それでも前途は多難
[2日 ロイター] - 米国の電気自動車(EV)市場は、高金利を背景とする需要急減に見舞われてきたが、第2・四半期の納入台数は予想を上回った。投資家はほっとしているが、依然としてEVメーカーの前途は多難だ。
ゼネラル・モーターズ(GM)、リビアン、トヨタ自動車がそれぞれ2日に発表したEV納入台数は堅調で、テスラは予想より減少幅が小さかった。これを好感して自動車株の一部は上昇した。
EVの需要はこれまで、借り入れコストの高騰、景気の先行き不透明感、ハイブリッド車の方が好まれる傾向などから、予想以上に伸び悩んできた。そのためテスラを筆頭にEVメーカーは価格を引き下げたり販売促進策を拡大したりと、消費者の獲得に懸命だ。
アナリストは、製造と電池のコスト削減圧力は今後も続くと予想している。
国際エネルギー機関(IEA)によると、世界のEV販売台数は2023年の1370万台から今年は1660万台に増加すると予想されており、特に中国の伸びが他の地域を上回っている。
だがアナリストらは、2日に発表された納入台数では、EV販売の再加速を予測するには不十分だとみている。
調査会社オートフォーキャスト・ソリューションズのサム・フィオラニ副社長は「今後数年間は、いち早くEVを取り入れた層から主流の購入層へと移行する局面に入るが、移行には長期間を要しそうなため、この時期には波があると予想している」と語った。
「上向く四半期もあれば下降する四半期もあるだろうが、全体として見れば過去数年のような力強い成長はないだろう」という。
GMは、第2・四半期に米国のEV納入台数が40%増加したと発表した。
同社のマリッサ・ウェスト北米社長は声明で「より多くの顧客がEVを受け入れていくのに伴い、わが社は勝てる」と述べた。
トヨタもEV需要の高まりを指摘しており、2026年からケンタッキー州とインディアナ州のEV工場が稼働開始して米国市場向けに2種類の新型EVを生産する予定だ。
トヨタ・ブランドの販売担当バイスプレジデント、デイモン・ローズ氏はロイターに「需要に関する明るい情報が市場から届き続けている」と語った。
韓国の起亜の広報担当者も、伸び率は前年ほどではないかもしれないが、全体的なEV販売は非常に力強いペースで伸び続けていると述べた。
中国はEV販売を促進するため、自動車の下取りに対して最大1万元(約22万円)の補助金を導入。テスラや中国EV大手BYD(比亜迪)は、中国でゼロ金利ローンや頭金なしオプションを提供している。
テスラは米国でも同様の取り組みを行い、納入台数は2四半期連続のマイナスながらも予想を上回った。
だがテスラの株主でハーグリーブス・ランズダウンの株式アナリスト、マット・ブリッツマン氏は「今は不振のEV市場で勝利宣言する時ではない。テスラが今年、昨年並みの納入台数を達成するには下半期に巨大な成績を上げる必要があるが、おそらく無理だろう」と語った。
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