• 2024/06/19 掲載

国債安定消化へ金利リスク抑制、変動債導入も選択肢 債務管理で近く提言

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Takaya Yamaguchi

[東京 19日 ロイター] - 国の債務管理研究会が近くまとめる安定的な国債発行・消化に向けた提言が19日、判明した。発行年限の短期化や新たな変動利付債を導入し、買い手の金利リスクを抑えることで国債を購入しやすい環境を整えることが柱。ロイターが提言案を確認した。

日銀が保有する国債は2024年3月末で約589兆円と、発行額の過半を占める。脱日銀への歩みを進める国債管理政策への提言との位置付けで、政府は、今後の国債発行計画などに反映させる。21日に発表する。

アベノミクス下の異次元緩和前の12年末は、銀行の国債保有比率が41.2%と業態トップだった。23年末には13.1%まで低下しており、提言では「今後銀行が国債保有を増やしていく余地は一定程度存在し、銀行が今後の国債の安定消化に果たす役割は大きい」と言及する。

銀行による国債保有を増やすには「発行年限の短期化や変動利付債の発行など市中に供給する金利リスク量の軽減を図る対応も必要」と指摘。償還までの期間が長い国債を購入しづらい事情を考慮した発行計画の策定を求める。実現すれば、低金利下で進めてきた長期化戦略は転換点を迎える。

変動債は通常の固定利付債と異なり、日銀が利上げしても保有時に利率が連動する。買い手の選択肢を増やすことで需要を喚起する狙いがある。

一方、短期化や変動債を導入すれば、国が借り換えリスクや金利リスクを負う。提言では、個人や海外投資家を念頭に「極力新たな国債保有主体の開拓を図ることが重要」との認識も併せて示す。当局者からのコメントは得られていない。

超長期債への投資を続けてきた生命保険各社の保有比率は12.7%(23年末)だが、投資余力は「ロールオーバー(償還再投資)での購入が中心」になると想定する。生保による大幅な保有増は「見込み難い」とし、実際の投資動向を注視しつつ「超長期債の発行額を調整していく必要がある」と記す。

23年末時点で13.5%と、銀行や生保を超える保有比率となった海外投資家への目配りも欠かせない。提言では、中期的な経常黒字の縮減が予想される中、「国債に対する市場の信認を維持する重要性も高まる」と指摘。幅広い海外投資家と「コミュニケーションを積極的に取っていくことが重要」と明記する。

金融緩和が長引いたことで、日銀保有比率が9割近くに上る銘柄もある。市中に流通しない同銘柄が数年内に先物取引の決済に使う最割安銘柄(チーペスト)になることも予想され、流動性対策にも配慮するよう求める。

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