Azure IoTについて
こちらを翻訳しつつ取りまとめますと、以下の3つの機能群に大別できます。
(1) | デバイスから送られるデータを処理する機能 |
(2) | デバイスの設定を操作する機能 |
(3) | デバイスの状態を監視する機能 |
この機能群に対しAzure IoTでは 、「サービス」 と 「アーキテクチャ」 の2つのアプローチを提供しています。その内容をこの後の章で解説していきます。
Azure IoTサービス(狭義のAzure IoT)
まずはAzure IoTサービス(狭義のAzure IoT)について解説をします。Azure IoTと言う場合、一般的にはこちらを指すことが多いようです。本稿執筆時点においては以下の8つのサービスが含まれます。
この中でも特に重要なサービスである「Azure IoT Hub」「Azure Digital Twins」について詳しく解説します。
● Azure IoT Hub / Azure IoT Hub Device Provisioning Service
Azure IoT HubはAzure IoTの中心となるサービスです。多くのケースにおいてデバイスの最初の接続先となり、データ処理におけるハブおよびデバイス操作・監視機能を担います。
また大規模IoTに必要となる、数百万のデバイスの同時接続および毎秒数百万のイベント処理に耐えうる拡張が可能なこともAzure IoT Hubの持つ特徴です。
データ処理におけるハブ機能の解説は次章に譲ります。デバイス操作・監視機能でできることの具体例としては、以下の4つが挙げられます。
- デバイスの認証
- デバイスのプロパティ(シリアルナンバーなど)の読み取り
- デバイスのコマンド実行
- デバイスイメージ(ファームウェアなど)の更新
いずれもAzure IoT Hubのみが持つ機能です。IoT環境の構築に当たっては必須となるサービスと言えるでしょう。
Azure IoT Hub Device Provisioning Service(DPS)は、デバイスの自動展開のためのAzure IoT Hubのサブ機能となります。
● Azure Digital Twins
デジタルツインとは「モノ、場所、ビジネス プロセス、および人々などの現実世界を、コンピュータ上の仮想世界(=デジタル)に再現する」と言う概念で、この概念をサービスとして実現したものがAzure Digital Twinsです。
たとえば「自動車のGPSデータから高速道路の混み具合を地図アプリに表示する」といったケースに対して、これまで独自開発したシステムで作り込んでいた機能を汎用的なサービスとして提供し、かつ定められた規格でモデル(分析の対象および手法)を拡張可能な点に特徴があります。
● その他のサービス
その他のサービスについては一部概要のみ記載します。
- Azure IoT Central
IoTを始めるのに必要な機能をワンパッケージにしたサービスです。簡便さやユーザー負荷低減を主眼に提供されていますが、その反面として一部の機能に制限があります。
- Azure IoT Edge
デバイスとクラウドの間に立ち、プロトコル変換・フィルタリングによる通信量の抑制・データ変換によるサービス負荷の軽減などの機能を提供します。
- Azure Time Series Insight
Azure IoT Hubと連携して、データの格納・分析・可視化を1つのサービスで提供するものです(2025年にサービス終了予定)。
Azure IoTアーキテクチャ(広義のAzure IoT)
次にAzure IoTアーキテクチャ(広義のAzure IoT)について解説をします。
Azure IoTアーキテクチャ(ドキュメントによりソリューションと言う記載もあります)とは、ユースケースに応じたサービスの推奨構成を提供するものです。
たとえば、「IoT ワークロードでの Azure Cosmos DB」の構成は以下が推奨されます。
●IoT ワークロードでの Azure Cosmos DB
- デバイスによりAzure IoT Hub を介してデータが送信されます
- Azure Databricks によりデータが処理されてストレージにデータが送信されます
- Azure Cosmos DB によりデータが格納されます
- Microsoft Power BI にデータが分析されます
- データを使用してWeb、モバイル、および API アプリが構築されます
- Azure Cosmos DB によって Azure Functions 関数がトリガーされます
- 関数がIoT Hub に接続され、再起動などのデバイス アクションが実行されます
(出典:日本マイクロソフト Azure IoT の
ドキュメント)
上の図ではデータ分析のユースケースに対して、Azure IoTサービスとしてAzure IoT HubとAzure IoT Edgeを利用しつつ、不足するデータの格納・分析・可視化機能をAzure Blob Storage・Power BIなどのサービスで実現するアーキテクチャが提供されています。
Azure IoT Hubがデバイスとサービス間のデータ処理のハブを担うということも、アーキテクチャを通すとよくわかると思います。
このようなアーキテクチャが多数
Azureアーキテクチャセンターにて提供されており、ユーザーはその中から適したものを選んで利用できます。
試しに「IoT」で検索したところ67件の結果がヒットしました。
また前章で触れたAzure IoT Centralはこれらのアーキテクチャを1つのサービスで提供するもので、ユースケースが合致すればQCD(Quality、Cost、Delivery)のすべてにおいて有効に適用可能です。
データ分析とは趣の異なるデバイス管理に特化したアーキテクチャも提供されています。
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