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- 2022/05/02 掲載
激変する宇宙旅行、スペースXやブルーオリジンはどこまで「価格破壊」を起こすのか
スペースXによるロケット発射コストの価格破壊
イーロン・マスク氏のスペースXやジェフ・ベゾス氏のブルーオリジンなどの民間企業による宇宙開発事業の活発化に伴い、ロケット発射コストが大幅に下がり、民間人が宇宙旅行に行ける可能性が高まっている。たとえば、米国連邦機関の1つ米航空宇宙局(NASA)が1981~2011年に実施していた「スペースシャトル」プロジェクトでの1回のロケット発射にかかる平均コストは4億5,000万ドル(約567億円)だったといわれている。30年間の総コストは、1,960億ドル(約24兆7,300億円)に上る。
一方、スペースXの現在の主要ロケットであるファルコン9の発射コストは6,700万ドル(約84億円)。スペースシャトルの平均発射コストの7分の1ほどに下がっている。最近まで価格は6,200万ドルだったが、インフレ調整により500万ドル値上げされた。
一方、ファルコン9よりサイズが大きいファルコンヘビーの発射コストは、9,000万ドルから9,700万ドルに値上げされた。
そして、スペースXが現在開発している「スターシップ」が実用化されると、コストはさらに下がることが予想されている。
Visual Capitalistがまとめた戦略国際問題研究所(CSIS)のデータによると、1キログラムあたりのロケット発射コストは、1980年~2000年代まで1万~5万ドルほどで推移していたが、スペースXの参入を機に、コストは2010年頃から急速に下落。1キログラムあたりのロケット発射コストは、スペースシャトルプロジェクトでは5万ドル以上だったが、ファルコン9で3,200ドル以下に下がり、さらにファルコンヘビーで1,600ドル以下まで下がっている。
そしてスターシップでは、これらをさらに下回る200ドルという驚異的なコスト下落が予想されているのだ。
現在の宇宙旅行費用3,000万円以上、今後は100万円ほどまで下落する見込み
現在、安くても数千万円の宇宙旅行だが、コスト下落が続き、ビジネスとしてスケールすれば、数百万円ほどまで下がる可能性がある。ロイター通信が2018年7月に伝えた情報筋の情報によると、ジェフ・ベゾス氏はブルーオリジンの宇宙旅行で、1人あたりの費用を20万(約2,523万円)~30万ドル(約3,785万円)に設定する計画だったといわれている。
またリチャード・ブランソン氏率いるヴァージン・ギャラクティックはこの時点までで宇宙旅行チケットを650枚販売。チケットの価格は、1枚あたり25万ドル(約3,154万円)だった。ただし、2014年の事故以降、チケット販売は停止されていた。
しかしBBCによると、ヴァージン・ギャラクティックは2021年8月に宇宙旅行チケット販売を再開。価格は前回の2倍近い45万ドル(約5,677万円)と報じられている。
ちなみに、英The Times紙(2016年3月)が伝えたところによると、スペースXやヴァージン・ギャラクティックなどの民間企業の参入でコスト下落が続けば、今後20年以内に地球の軌道まで行く宇宙旅行費用は、7000ポンド(約114万円)ほどに下がる可能性があるという、元スペースシャトルの乗組員ドナルド・トーマス氏による見立てもある。
【次ページ】スペースX、ブルーオリジン以外のプレーヤーの動向
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