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- 2021/11/11 掲載
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アマゾンなど大手企業、海運ネットゼロを目標に
世界各国・各産業で「カーボンニュートラル」を目指す動きが活発化している。この流れを受け、アマゾンやイケアなど海運・物流に関わるグローバル企業はこのほど、2040年までにコンテナ船の燃料をネットゼロにするという目標を発表。欧米各メディアも大々的に取り上げており、海運産業だけでなく、周辺の産業・市場にどのような影響が出るのかに関心が集まっている。
2040年までに海運における燃料をネットゼロにすると発表した企業は、アマゾンとイケアを含め全部で9社。同2社のほか、Brooks Runnining、Frog Bikes、Inditex(Zaraの親会社)、Michelin、Patagonia、Tchibo、Unileverが含まれる。
同キャンペーンを遂行したのは、米ワシントンを拠点とするシンクタンクThe Aspen Instituteだ。同社シンクタンクは、さらに多くのリテール企業や製造業の参加を呼びかけており、参加企業は今後増える可能性がある。
同キャンペーンの分析を担った団体「Clear Air Task Force(CATF)」によると、海運産業の二酸化炭素排出量は年間10億立方トンに上る。これは、米国の乗用車すべての排出量に匹敵する規模という。
国連の専門機関の1つ「国際海事機関(IMO)」は2018年に、国際海運における二酸化炭素排出量を2050年までに2008年比で50%削減するという目標を発表したが、達成時期や目標値が緩いとの批判を受けていた。
今回発表されたアマゾンやイケアの目標は、IMOよりも10年早く、さらにネットゼロにするという大胆なもの。海運産業に多大な影響が出ると見込まれている。
水素燃料の可能性
現在多くのコンテナ船で使われているのは、重油の中でも重油含有率が高い「C重油」。他の燃料に比べ、コストが大幅に安くなることが使用される大きな理由となっている。しかしこのC重油、燃焼すると大量の二酸化炭素と窒素酸化物などの汚染物質を排出することが問題視されている。IMOが2020年1月に排気量規制に踏み切ったほどだ。
海運の二酸化炭素排出量は、世界全体の3%を占める。また、国際物流需要が高まっており、このままでは2050年までに10%に上昇するともいわれている。
こうした状況を受け、海運・造船産業では二酸化炭素や汚染物質を排出しない新たな燃料の研究開発が進められている。カーボンニュートラル/ネットゼロという視点から注目されているのは「水素」と「アンモニア」だ。
水素に関しては、欧州企業CMB.Techなどが水素を燃料とする小型フェリーを開発しており、すでに欧州や日本などで短距離輸送用に導入されている。CMB.TechのWebサイトによると、日本では常石グループとの協業で開発した水素フェリー「HydroBingo」の運行を2021年8月10日に広島で開始した。
80人乗りのフェリーで、2基の水素エンジンを搭載。二酸化炭素の排出量は既存のディーゼルエンジンに比べ、最大で50%削減できるという。
このほか、水素とディーゼルのハイブリッドエンジンを積んだシャトルボートの運用がベルギー・アントワープでも実施されている。
【次ページ】アンモニアの可能性と課題
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