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自動運転車にはさまざまなAI(人工知能)関連の技術が投入されており、自動運転車はAIとロボティクス技術の粋を集めたような製品と言っても過言ではありません。市場にあらゆる自動運転車が投入されるようになる中で、自動運転車の「レベル」があたりまえのように語られるようになりました。そこで本記事では自動運転車の「5つのレベル区分」を日本国内の基準に合わせて説明し、そこに使われている技術について簡単に解説していきます。
レベル0:普通の自動車
自動運転車のレベル区分は5つあります。その上で、区分の外を示す「レベル0」は自動運転機能が一切付いていないものを指します。
実は後述するレベル1の自動運転(運転支援)機能には「自動ブレーキ」なども含まれているため、「自動〇〇」と呼ばれる機能が一切付いていない車がレベル0となります。
レベル1:人間の「ミスを補う」運転支援
レベル1は「自動ブレーキ」「自動追従」「車線維持」などの機能を有するもので、基本的に特定の条件下で「アクセルとブレーキ」と「ハンドル操作」の片方を単独で使う(同時には使わない)ような運転支援機能を持つ車です。
このレベルだと正面についた短距離レーダーだけで状況判断を行うようなものもあり、AIなどの高度な技術が使われていないことも多いです。
一方、画像認識技術などが進歩したことで正面に向けたカメラ1つで、ある程度の状況認識が可能になったことから、レベル1の運転支援はカメラ1つで実現できるようになっています。
この段階では、当然ながら手放し運転などはできません。どちらかと言えば、“人間のミスを補う用途”での運転支援であり、意図的に自動運転とは呼ばないようにするケースが多くなっています。
レベル2:運転が少しだけ「楽になる」自動運転
レベル2では、特定の条件下で「アクセル・ブレーキ・ハンドル操作」をシステム側が同時に行えるようになった自動運転車を指します。
レベル1の機能をすべて同時に行えるようになったことに加え、高速道路などの運転操作が簡単な状況では運転操作を完全に任せることができるようになっています。
とはいえ、このレベルでは責任をドライバーが負うことになっていますので、ハンドルから手を離すくらいはできますが、スマホ操作といった脇見運転はできません。運転をAIに任せるのではなく、自分でやることが少なくなって少しだけ楽になるというイメージです。
ドライバーからするとレベル1と大差のないレベル2ですが、技術的にかなり進歩しました。この段階になるとカメラやレーダーなどのセンサーは正面だけでは足りません。前後左右の広範囲をカバーするセンサー類が必要不可欠であり、周辺の車の速度や位置を正確に把握した上で、適切な運転判断ができるようなシステムでなければなりません。
実質的にレベル3相当の高度なAI技術が用いられていることもあるため、自動運転車のコストも高めになる傾向にあります。
レベル3:運転を少しだけ「任せられる」自動運転
レベル3では、特定の条件下で「すべての操作をシステムに任せることができる」ようになります。高速道路などの特定の道路でのみ、すべての運転操作をシステムに委ねる自動運転が可能で、この段階になると手を離すだけではなく目を離すこともできます。つまり、運転中にスマホを操作したり、本を読むぐらいはできるようになるということです。
ただ、必要不可欠な要件として「システムが要求したらドライバーが運転を代われること」というものがあるため、居眠りをしたり、席を外したり、飲酒などはもちろん不可能です。
メーカーによってはシステムの要求にドライバーが気づかない可能性があるので「(違法ではないものの)スマホの使用などは推奨しない」としています。
自動運転車にはカーナビや動画視聴に使える車内コンソールが搭載されているので、スマホの代わりそれを使ってリラックスすれば良いでしょう。コンソールには運転交代要求が表示されるので、見逃すことはありません。
レベル3になると自動運転中に事故が起きた場合にはシステム側の責任とされていますので、ドライバーが交代要求を受け取れる状況下で交代要求が発出されずに事故が起きれば、それはシステム側の製造者が賠償責任を負うことになります。
一方で、交代要求が出されたにもかかわらず、寝ていたり、イヤホンをつけながらスマホをいじっていて気づかなかったとなれば、ドライバーの責任となります。基本的に、レベル3では運転を少しだけ任せられるようになっただけだと考えると良いでしょう。
技術的には、車の外部センサーに関してはレベル2とそこまで大きく変わりません。レベル3で重要になる技術は状況判断の精度やドライバーの状態を確認する技術です。
素早く運転を交代させるためにドライバーが着座しているか、起きているか、交代可能な状況にあるかといったことを確認できるような監視技術が必要です。その上で、それらの状態をきちんと記録し、提出できるような仕組みも必要になります。このあたりは技術的なものよりも、インターフェースとしての使い勝手が重要な部分と言えます。
【次ページ】レベル4~5まとめて解説
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