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  • 2021/10/06 掲載

なぜドライバーの負荷を軽減する「中継輸送」が普及しないのか、最大の障壁は…

連載:「日本の物流現場から」

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前回の解説記事では、中継輸送がどのような仕組みであるか解説した。中継輸送は1つの輸送工程を、複数のドライバーがリレーしながら担う輸送方式で、長距離輸送を担うトラックドライバーや運送会社の負担を減らすことが期待される。だが実際に行うのはそう簡単ではなく、普及にはまだまだ障壁が存在する。本稿では、中継輸送における課題と、「コンプライアンス違反する運送会社」という難敵について述べる。
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「中継輸送」は国交省も期待を寄せる取り組みだが、まだまだ課題も存在する
(Photo/Getty Images)

中継輸送の5つの課題

 中継輸送で考えられる課題のうち、代表的なものを挙げよう。

(1)原則として、中継輸送拠点を新設する必要がある。
高速道路上のサービスエリアや道の駅などの既存施設を利用し、中継輸送を行っている事例も存在するが、これは例外的なケースと考えられる。なお中継輸送においては、発着地と中継地点の距離を250km前後に設定することが、連続運転のコンプライアンス順守も踏まえ適当と言われている。

(2)計画通りに待ち合わせができないケースがあり得る。
車両およびドライバーの待ち合わせが必須となる。計画通りに待ち合わせができなくなると、かえって拘束時間が長くなるケースも考えられる。

(3)ドライバーの給与が減るケースが発生する。
労働時間が削減されることによって、結果的にこのようなケースが起こり得る。ただし、積載率ないし空車率が改善し売上が向上したため、残業代のマイナスを補って給与アップにつながった事例もある。

(4)運送会社間でのトラブルに発生しかねない。
異なる運送会社間で中継輸送を行う場合は、車両および貨物に対する事故における補償責任やルールを取り決めておく必要がある。あらかじめきちんとルールを定めておかないと、トラブルの元になる。ドライバー交代方式によって、他社のトラックを運転中に事故を起こした場合における保険や補償のありかたも課題となる。

(5)中継輸送ができるのは、定型ルート輸送が基本となる。
スポット発生する長距離輸送において、都度中継輸送の段取りを組むのは難しく現実的ではない。

今後のニーズ増で、中継地点の充実が必須に

 そのほかにも、異なる運送会社間による中継輸送では、貨物追跡システムのデータ連携が対応しておらず、荷主、もしくは荷受側が貨物追跡を行うことができないケースもある。

 また中継地点が高速道路外にある場合、途中で高速道路を降りることになるので、高速道路料金が割高になるといったデメリットも発生する。

 このような事情を考慮すると中継地点は高速道路の施設内にあることが望ましい。だが、そもそもサービスエリアやパーキングエリアを中継輸送ポイントとして利用する運送会社が増えれば、混雑によって起こる問題もまた発生するであろう。

 ネクスコ中日本と遠州トラックは、中継輸送のニーズ拡大を見据え、新東名浜松SAに隣接するCA(コネクトエリア)浜松を運営している。これは、トレーラー・トラクター方式およびドライバー交代方式に対応する中継輸送のために設けられた施設である(貨物積み替え方式の貨物積み替えは行うことができない)。

トレーラー・トラクター方式:トレーラーはそのままに、トラクターを入れ替えて貨物の中継を行う方式。
ドライバー交代方式:トラックを乗り換えてドライバーが交代する方式。
貨物積み替え方式:中継地点で貨物を積み替える方式。

 中継輸送の利用拡大のためには、こういった高速道路に隣接された中継輸送のための施設が増えていくことも必要だ。

 またインフラ面での課題とは別に、中継輸送普及の最大の障壁が、運送会社側にあることも見逃してはならない。

【次ページ】中継輸送普及の最大の敵は「コンプライアンスを守らない運送会社」
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