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デロイト トーマツ グループは2021年7月、「ミレニアル・Z世代年次調査2021」を発表した。調査は2021年1月~2月に行われ、世界45カ国のミレニアル世代・Z世代2万2928人の価値観や働き方への意識、関心のある社会課題などをまとめている。本稿では調査でのグローバルとの比較から明らかになった、日本の若手世代の特徴を、9のトピックを紹介する。
(1)Z世代では5割に届かず、感染予防対策の順守率が低い
まず、新型コロナが日常生活に与えた影響に関する調査結果を見ていこう。感染防止対策の実施状況について「政府による感染防止対策ガイドラインを守ったか」と尋ねたところ、日本のミレニアル世代の68%、Z世代の48%が「従った」と回答した。グローバルの同世代と比較すると、新型コロナ感染予防対策が遵守されている比率が低いことが分かった。
また、基本的な感染対策の実施に関しても「公共の場でのマスク着用」(ミレニアル世代 61%、Z世代 48%)、「人が集まる場所を避ける」(ミレニアル世代 60%、Z世代 51%)ともに、グローバル平均よりも低い結果となった。
(2)ストレスレベルは低下傾向
次に、日常生活で感じる不安やストレスについて見ていこう。「どのくらいの頻度で不安やストレスを感じるか」という質問には、日本のミレニアル世代の42%が、日本のZ世代の34%が「ストレスをいつも・ほとんど感じている」と回答した。2020年以降の推移を考慮すると、ほぼ横ばい、または少し上昇したグローバルと比べて「日本のミレニアル・Z世代の総合的なストレスレベルは低下傾向にあり、日常生活の不安感は少ない」と言える。
不安やストレスの主な要因としては、日本のミレニアル世代が「長期的な家計」「仕事とキャリア」「直近の家計」の順位に多い。上位項目の内容自体はグローバルとの違いもあまりない。
(3)パンデミック期間中、「戦略的な自己投資」を行った人は1割以下
パンデミック期間中、若い世代はどのような行動をしていたのか。「パンデミックの(直接的・間接的な)結果として実施したこと」を尋ねると、日本ではミレニアル・Z世代ともに、「通勤時間の減少」「家の片づけ・不用品の売却」など、家での生活や環境を見直したとの回答が多かった。
デロイト トーマツ グループのディレクター 澤田修一氏は「戦略的な自己投資を行う行動については、グローバルと比較してやや少ない」と日本の傾向を指摘し、グローバルのミレニアル世代では「役職クラスが上がるほど、戦略的な自己投資を実施する比率が高い」ことを紹介した。
(4)経済への悲観傾向が強く、5割が「悪化する」見通し
今回の調査では「すべての状況を考慮して、今後12カ月の間にあなたの国の経済状況は“改善”“悪化”“変化なし”のどれを予測しますか」と尋ねている。日本のミレニアル世代(54%)、Z世代(51%)ともに「悪化する」という見方が最も多かった。
2019年、2020年の調査からの推移を見ても、全体的に「悪化する」との見方が経年で増加傾向にある。特に日本のミレニアル・Z世代の5割超になるなど、悲観的観測を持っていることが明らかとなった。
(5)環境問題よりも経済成長、高齢化に関心
「世界が直面している課題について考えたとき、次の項目の中で個人的に最も関心があるものを3つまで選択してください」という質問に対しては、日本のミレニアル世代が「医療・疾病予防」「高齢化」「経済成長」などを挙げている。また、日本のZ世代は「医療・疾病予防」「高齢化」「失業」などが上位3項目となった。
対して、グローバルではミレニアル世代が「医療・疾病予防」「失業」「気候変動・環境保全」を、Z世代が「気候変動・環境保全」「失業」「医療・疾病予防」などを挙げている。
「グローバルでは、気候変動・環境保全が新型コロナ感染拡大前から一貫して懸念事項となっているが、日本のミレニアル・Z世代は自身や経済的な問題にフォーカスしている」(澤田氏)
【次ページ】「テクノロジー精通への意識は高くない」「不平等を感じるも、行動にはつながらない」など
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