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  • 2021/06/02 掲載

エドテック最前線、教育と保育のITベンチャーに聞いたZoomと戦う?戦わない?

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コロナ禍によってさまざまな場所でオンライン化が進んだが、教育現場や保育現場も例外ではない。Education(教育)とTechnology(テクノロジー)を組み合わせた「エドテック(EdTech)」などのキーワードも世をにぎわせている。ではコミュニケーション領域では、やはりZoomが圧倒的な強さを誇っているのだろうか。単純にオンライン化できない部分もありそうだが、そこではどんなツールやサービスが使われているのか。実際に教育や保育の現場のオンライン化・デジタル化に貢献している企業に、コロナ禍の対応や戦略について聞いてみた。
フリーライター 安彦 守人

フリーライター 安彦 守人

1979年山形県生まれ。東海大学大学院文学研究科修了。自動車部品メーカー退職後、有料メルマガのライターを経て、コンサルティング会社のライター、マーケティング広報の兼務を10年間継続。その後一部上場企業の広報などを経て、2019年よりシニアジョブ広報部部長。その傍らフリーライターとして活動。IT、ビジネスニュース、労働問題、医療福祉、SDGsなどの分野を扱う。

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教育と保育の現場ではどのようなサービスが求められているのか?ITベンチャー2社に話を聞いた
(写真:モノグサ、保育ICT提供)


教育現場、保育現場のオンライン化もZoomで良いのか?

 新型コロナウイルスの流行とそれに伴う2020年4月の最初の緊急事態宣言によって、初めてテレワークを経験したという方も多いのではないだろうか。

 オンライン化したのは仕事だけでなく、イベント、飲み会に及ぶまで広範囲だ。その中には、学校の授業も含まれる。

 安倍政権下で2020年2月28日から春季休業前まで要請が行われた「全国一斉臨時休校」、そしてその後の緊急事態宣言によって、5月末くらいまで休校が延長されるなどしたことで、多くの小・中・高、そして大学でオンライン授業が導入された。

 学習塾でもオンライン化の模索が広がり、保育園・幼稚園でもオンラインの教材や仕組みへの関心が高まった。

 こうした教育現場のオンライン化で導入・活用されたツールの代表格は、なんと言ってもZoomだろう。SkypeやFaceTimeといった既存のビデオチャットサービスをまたたく間に塗り替え、他社からもMicrosoft TeamsやGoogle Meetといった同様のサービスがリリースされ、大きく躍進した。

 教育現場もコロナ以前にあった教育専門特化の遠隔授業システムではなく、Zoomなどのオンライン会議ツールが選ばれる向きがある一方で、「オンライン会議ツールだけではオンライン化しきれない」という教育内容や学校生活、先生の作業や悩みも残る。

 果たして、教育現場や保育現場のオンライン化に最良のツールはZoomなのか。

 オンライン会議サービスではない教育現場向けのデジタルツールを提供する会社と、保育現場向けのデジタルツールを提供する会社に話を聞いてみた。

Zoomとは戦わない、むしろクライアントにも勧める

 結論から言うと、今回話を聞いた2社とも、Zoomについては絶賛する結果となった。オンライン会議サービスで何が良いか聞かれた場合、2社とも「Zoom」と答えるようだ。

 もっと正確に言えば、「Zoomとは戦わない、戦っても勝てない」という言葉が聞かれた。

 当然と言えば当然だが、Zoomだけではなく、GoogleやFacebookといった主要IT企業/巨大プラットフォーマーはもとより、Slackなどとも戦う気はないようだ。学校・保育園で使うオンライン会議サービスを聞かれたら「Zoom」と答えて、学校・保育園の職員間で使うコミュニケーションツールには、ためらいなく「Slack」を推すらしい。

 では、2社はいったいどこで戦い、学校や保育園のオンライン化に貢献しているというのか。両社の回答に、教育現場や保育現場が求めているオンライン化・デジタル化の本当のニーズがありそうだ。

オンライン授業自体は大変じゃない、課題は別にある?

 最初に話を聞いた、モノグサ 代表取締役CEOの竹内 孝太朗氏からは、「コロナ禍で教育業界において最も利用が伸びたデジタルのサービスは、Zoomだと思う。昨年の一斉休校の際に学校は、比較的スムーズにZoomを活用したオンライン授業に移行できていた印象がある」という回答が得られた。

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モノグサ 代表取締役CEOの竹内 孝太朗氏
(写真:モノグサ提供)

 もちろん、オンライン用に教材を準備するのは苦労が多いという学校の先生も多いだろう。しかし、「どうやれば、よりわかりやすいか、伝わるか」ということをあまり考えず、単に黒板の前で話す内容をそのままオンラインで流すだけであれば、スムーズにオンライン授業へと移行できたとしても不思議ではない。

 一方、学校の先生が本当に重要なオンライン授業の問題点は「どこまでわかったのか、伝わったのかが確認できないこと」だろうと竹内氏はみているという。

 わかったのか、伝わったのかの確認。すなわち、モノグサのサービス上の言葉で言い換えるならば「学習進捗や記憶の定着度」の確認、という部分だという。

 モノグサが提供するサービス「Monoxer」は「解いて憶える記憶アプリ」と紹介されており、先生が問題・課題を作成してオンラインに配信でき、それを生徒が解く、というサービスだが、特徴の1つとして「学習状況や記憶度の確認」に置いている。

 今年4月に「Monoxer」は小テスト機能を正式リリースしたが、これは単なるAIドリルやオンラインのテストサービスではない。覚えているのかいないのか、といった生徒1人ひとりの「記憶度」が、生徒の回答データから確認できるという。

 もちろん、覚えたか覚えていないのか確認できることは、通常の学習でも勉強の効率を高めてくれる機能に違いないが、これがオンラインでできるアプリはコロナ下のオンライン授業の先生と生徒のニーズにマッチした。

 これまでの対面の授業では、先生は生徒1人ひとりの態度や回答の状況から理解や記憶の度合いを想定して、全員がついてこられるように配慮しながら進めていたことだろう。それがオンライン授業では一方通行になりがちで、生徒の状況の細かい確認が難しい。その課題解決に「Monoxer」は丁度良いツールとなったというのだ。

【次ページ】「全国一斉休校」で割りを食った保育現場が求めるものとは?
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