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- 2021/04/23 掲載
フードロスアプリとは何か?食品ロスの切り札となるサービスをまとめて紹介する
米山怜子
持続可能な経営や社会の実現を目指すリサーチコンサルタント。オランダMBA卒。企業向け市場調査・戦略立案・統計分析やSDGs関連記事の執筆、経営者向けコンサルティング・コーチング、経産省傘下中小機構国際化支援アドバイザーや日欧産業協力センター講師などを務める。2019年にはランサーズ社よりLancer of the year受賞、経営コンサルタントとしてテレビCMにも出演。日本企業の活性化・新技術・ビジネスの持続可能性を中核として、クライアント発展への貢献に日々やりがいを感じている。
日本の「食品ロス」の現状
食品ロスは大きく分けると、飲食店などから出る「事業系」と家庭の中で出る「家庭系」の2つに分けることができる。その割合は事業系が54%、家庭系が46%と、若干事業系食品ロスの割合が多くなっている。さらに内訳をみると、事業系食品ロスの中で割合が最も大きいのは外食産業で、これは全体の21%を占める。僅差で食品製造業が20%、そして食品小売業の10%と続く。
日本国内の食品ロス量は全体で年間612万トンと言われているが、この単位では想像がつきにくいので、これを国民の1人当たりに換算する。
すると、1人1日約132g、つまり、毎日お茶碗一杯分のお米を捨てているのと同じ量になる。年間では1人当たり約48kgと、1人当たりのお米の年間消費量(約54㎏)にも近い数字だ。
事業系食品ロスの原因とそれに対する政策
では、なぜ1日1人お茶碗1杯分も、もったいないフードロスが出てしまうのだろうか?農林水産省食品産業局の2020年末のレポート「食品ロス及びリサイクルをめぐる情勢」では、事業系食品ロスの発生要因は、業界の商慣習(いわゆる3分の1ルールなど)や、消費者の過度な鮮度志向など、と分析されている。
まだ賞味期限までに十分に時間はあっても、「2/3を超えたものを販売しない」という製造業・卸売り業の商習慣。食品小売業における「賞味期間の1/3を超えたものを入荷しない」「先に入荷したものより前の賞味期限のものは入荷しない」といった小売業の商慣習が、ロスを発生させてしまっている。
消費者の意識もまた重要な要因であり、過度な鮮度志向や、「おいしい目安」である賞味期限への理解不足、そして外食シーンでは直接食品ロスにつながる多くの「食べ残し」が発生しているのが現状である。
これらへの対策として、農林水産省では業界内の商慣習の見直しから、需要に見合った販売の促進、フードバンクとの連携、そして消費者への啓発を掲げている。
さらに、農林水産省は2019年に、食品ロスについて2030年度を目標年次として、サプライチェーン全体で2000年度の半減とする目標を設定している。
事業系食品ロス量の具体的な数値は、2000年度547万トンから、2030年度までにその半減の273万トンにする目標値である。
政府はこれらを社会全体で取り組むべき重大課題とし、2019年5月に「食品ロス削減推進法」を成立させた。
この法律では、食品ロスの定義や食品ロス削減を推進する基本的な方針などが盛り込まれた。また、国や地方自治体の食品ロスへの責務などを明らかにし、食品ロス削減のための施策の基本事項なども定めて、総合的な推進を目指している。
それを踏まえ、農林水産省では活動の一環として「SDGs×食品産業」特設サイトを設置している。食品業界の積極的な参画を得られるよう、すでにSDGsを実践している食品事業者の取り組みを中心に、SDGsと食品産業のつながりを紹介している。
さらに、農林水産省と消費者庁と環境省が連携して、10月を食品ロス削減月間、10月30日を「食品ロス削減の日」と定め、食品ロス削減に向けた取り組みを集中的に普及・啓発している。
10月30日の由来は、宴会の食べ残しをなくすため、宴会の最初の30分間と最後の10分間は席について食べ尽くそうという「3010(さんまるいちまる)運動」から、その数字を逆にする形で制定されたという。
【次ページ】身近に食品ロスを抑える、フードロス・プラットフォーム各種
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