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  • 2020/06/30 掲載

何が問題?「アベノマスク」「持続化給付金」、税金を使った政府の発注のカラクリとは

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アベノマスクや持続化給付金など、税金を使った政府の発注(政府調達)について不透明性が指摘されている。政府調達というのは特殊な分野なので、多くの人にとって馴染みが薄い。官公庁向けにビジネスをする企業は少なく、社内でも官公庁営業の部署は特殊な位置付けになっていることが多い。だが政府調達は本来、多くの企業に開かれるべきものである。この記事では、今回、発覚した諸問題を材料に、政府調達の仕組みや、どうすれば入札などに参加できるのかなど、政府調達のイロハについて解説する。
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アベノマスクや持続化給付金など、税金を使った政府の発注(政府調達)について不透明性が指摘されている
(Photo/毎日新聞社/アフロ/国会内で2020年6月15日午後2時4分、竹内幹撮影)

税金を使った政府の発注のカラクリとは

 政府調達とは、政府が税金を使って物品やサービスを購入する一連の手続きのことを指す。これは国民の税金を使った買い物なので、その手続きについては透明性の確保が強く求められる。特定企業が政府と癒着し、不正にお金が流れることがあってはいけないので、政府調達の手続きは「会計法」という法律と、「予算決算及び会計令」という政令で厳格に定められている。

 アベノマスクや持続化給付金では、事業者選定のあり方に問題があったとされ、随意契約や総合評価方式など聞き慣れない言葉がメディアを賑わした。だがキーワードが聞き慣れないだけで、政府調達のやり方は以外とシンプルである。

 会計法には、政府が民間企業と契約する場合には「公告して申込みをさせることにより競争に付さなければならない」と記されている。政府は、いつ、どのような買い物をするのか、すべての人が理解できる形で告知する必要があり、政府にモノやサービスを販売したい事業者は自由に申し込むことができ、そして、政府は各社を競争させた上で最も有利に調達できる事業者を選定する、という意味である。

 ここで言うところの競争というのは「入札」のことを指している。入札というのは、申し込みを行った複数の事業者に同時に価格を提示させ、最も価格が安かった事業者と契約するという方法である。

 しかしながら、すべての製品やサービスについて、価格のみで事業者を選定できるとは限らない。特殊な技術を用いていたり、権利関係などから特定の事業者しか製品を納入できないこともあるし、価格以外にも評価すべき点が存在することもある。こうした場合には、事業者を最初から特定した上で契約を結ぶ「随意契約」を選択しても良いことになっている。

 だが随意契約というのは、恣意的に事業者を選択するということであり、事業者と政府、あるいは事業者と公務員の癒着が発生しやすくなる。このため随意契約は、あくまで特例という位置付けであり、通常は、入札を通じて事業者を選定するのが標準的なやり方である。

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特定企業が政府と癒着し、不正にお金が流れることがあってはいけないので、政府調達の手続きは「会計法」という法律と、「予算決算及び会計令」という政令で厳格に定められている
(Photo/Getty Images)
 

随意契約にするためには相応の理由が必要

 ちなみにアベノマスクについては、マスクという一般製品の購入であるにもかかわらず、入札を行わず、特定事業者に発注する随意契約が行われたことが問題視された。先ほども説明したように、随意契約は、競争入札ができない特殊な場合にのみ認められている手法だが、どういうわけかアベノマスクではこの調達方法が最初から選択された。

 随意契約が可能な場合として会計法では緊急性という項目を定めているが、同じく会計法では、緊急性を要する場合には入札の公告期間を半分に短縮できるとの規定もあるので、やはり随意契約にする明確な理由が見当たらない。特定の事業者と契約するため、あえて随意契約にした可能性は否定できないだろう。

 随意契約は基本的にイレギュラーな調達方法だが、随意契約の案件は意外と多い。



 本当に競争が馴染まないという理由で随意契約が選択された可能性もあるが、中には特定事業者への発注が最初から想定されている案件も紛れ込んでいる。こうした案件の場合、正面から申し込んでも受注できない可能性が高いので、随意契約の案件を見かけた場合には、なぜ随意契約になっているのか分析し、慎重に対処する必要があるだろう。

 随意契約については、その不透明性が指摘されたことから、政府は契約の内容や相手方の名前、随意契約にした理由などについて公表を義務付けるようになった。政府と随意契約を結んだ企業名とその理由は公開情報なので、関係者以外でも知ることができる。

【次ページ】政府はどのように事業者を選ぶのか、「入札」の仕組みとは
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