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- 2020/05/07 掲載
コネクテッドカー市場を詳解、5Gやテレマティクス、第3世代「V2X」の動向は?
インフォテインメント分野は、アップルとグーグルが勝ち組に
コネクテッドカーの関連技術は、HMI(Human Machine Interface)、OTA(Over The Air)、V2X(vehicle to everything)、自動車用コンテンツ、サイバーセキュリティ、スマートホームなど多岐にわたる。ここでは、まずインフォテインメントとテレマティクスの動向について見ていこう。インフォテインメントとは、「インフォメーション(情報)」と「エンターテインメント(娯楽)」を組み合わせた造語だ。主に車載システムにおいて、情報・娯楽の両要素を一体化したシステムとして提供するものだ。たとえば、カーナビ・カーオーディオ、車載DVD、TVチューナーなどの機器が含まれる。
Hawon Lee氏は「インフォテインメント機器のグローバル生産は、2025年までにオーディオベースの機器が減少し、その代わりにディスプレイ・オーディオやナビゲーションへの置き換え需要が進み、それぞれ3600万台と3900万台にまで達すると予測しています」と語る。
また今後5年間で2700万台以上の自動車に対して「スマートフォン・プロジェクション」の機能が追加されるという見立てだ。スマートフォン・プロジェクションとは、スマートデバイスと車載ディスプレイや車載オーディオが連携するというもの。現在の主流としてはアップルの「Apple CarPlay」とグーグルの「Android Auto」が有名だが、5年後もその勢いは変わらないとみてよさそうだ。
「このようなスマートフォン統合システムは依然として人気が高く、グローバルで新車購入希望の80%以上が関心を示しています。中国も同様の傾向ですが、国内では『Baidu CarLife』が優勢です。独自の動きを見せる背景には、同国の車両がAndroid Autoに非対応であるという理由もあります」(Hawon氏)
現在のインフォテインメント・ヘッドユニット(車載オーディオ機器本体)のトップサプライヤーは、HARMAN(Samsungの子会社)とパナソニックで、両者のシェアは31%を占める。その他、Bosch、Hyundai Mobisなどが続くが、小さなサプライヤーも市場の4分の1を供給している。将来的にサプライヤーの合従連合が起きるとみられる。
テレマティクス・システムの急増と5Gへの本格的な展開
次にテレマティクスの動向をみていこう。そもそも、テレマティクスとは、自動車や電車などの車両において、移動体通信システムを利用して情報サービスを提供する技術を指す。自動車用テレマティクス部品には、CEデバイスやSIM(スマートフォン)を使用した「外装型」、オンボードチップ(TCU)を使用した「組み込み型」と、両者を組み合わせた「ハイブリッド型」などの種類がある。「2019年には5000万台以上の新車に対し、何らかのテレマティクス・システムが搭載されました。それが2025年には7200万台近くに増加し、ハイブリッド型のシェアが68%に達する見通しです。CAGR(年平均成長率)は約7%と予測しています」(Hawon氏)
テレマティクスを実現するTCUは、現在は4G LTEが大部分を占めているが、5G対応のテレマティクスの本格的な展開も始まりつつある。2020年1月に開催された「CES 2020」では、BMWとSamsung(HARMAN)が、初の5Gテレマティクスの搭載を表明している。
テレマティクスを実現する車載TCUのサプライヤー別シェア(2020年1月時点)は、LG ElectronicsとContinentalがリードし、全TCUの半分近く(約43%)のシェアを占めている。それを追うのが、Samsung/Harmanだが、現在のシェアは10%にも満たない状況だ。
ただしHawon氏は「今後はTCU市場の爆発的な成長に伴って、新たな量的・技術的な需要を満たすべく、サプライチェーンのプレイヤーの勢力も劇的に変化していくでしょう」と予測する。
第3世代「V2X」など、自動車業界に及ぼす影響とは?
コネクテッドカーの主なアドバンテージといえば、「安全性」「効率」「インフォテインメント」の向上に関するものだろう。通信技術(2G~5G)の進化に伴うテレマティクスは、第1世代が組込型TCUベース、第2世代が組込型/CEデバイスとハイブリッドシステム、第3世代が「V2X」(Vehicle to everything、車車間・路車間)搭載のハイブリッドシステムへと変遷を続けている。Hawon氏は、コネクテッドカーが自動車産業にもたらす影響について次のように語る。
「特に第3世代のV2Xは、まさにコネクテッドカーを代表するテクノロジーとして自動車産業に大きな影響を及ぼすことになるでしょう。V2Xには『V2N(Vehicle-to-Network)』『V2P(Vehicle-to-Pedestrian)』『V2I(Vehicle-to-infrastructure)』『V2V(Vehicle-to-Vehicle)』という多彩なサービスが考えられます」(Hawon氏)
たとえば、V2Nはリアルタイム交通情報や経路案内、クラウドサービスなどを提供する。V2Pは歩行者や自転車ユーザーへの安全性を担保し、V2Iはドライバーに信号が変わるタイミングや優先順位などを知らせることが可能だ。V2Vは車両間の衝突回避の安全システムをサポートする。
V2Xがグローバルで盛り上がるのは2020年以降になり、2025年にはV2Xの総出荷数が1000万台を突破する見込みだ。
「専用狭域通信(DSRC)型のV2Xシステムは実証済みで、当初はグローバル市場をリードしますが、全体的な配備数は少ないでしょう。その一方で、ハイブリッド型がグローバルで浸透するものと考えられます。Continentalのハイブリッド型V2Xシステムは、4Gと5Gの両方に対応しており、DSRCとセルラー、両タイプのV2Xプロトコルをカバーしています」(Hawon氏)
【次ページ】データ収益化ビジネス市場は、2025年には800億ドル規模に
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