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  • 2020/01/27 掲載

トヨタも参戦の「空飛ぶタクシー」、ウーバーが描く「交通の未来」を阻む壁の正体

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トヨタや現代自動車といった大企業が参戦し、「空飛ぶタクシー」実現に向けた競争が本格化してきた。こうした中、台風の目となっているのがウーバーテクノロジーズ(以下、ウーバー)だ。筆者は2018年の記事「復活のウーバー、トヨタも危惧する『交通の未来』で何を握ろうとしているのか」でウーバーが単なるライドシェア企業から脱皮しようとしている点を指摘していたが、ようやくこれらが結実してきたわけだ。このように期待と注目を集める一方、その実用化にはいくつかの壁が存在する。
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CESでお披露目されたS-A1
(筆者撮影)

「CES 2020」でコンセプトモデルをお披露目

 垂直離着率が可能な次世代モビリティとして「空飛ぶクルマ」が注目を集めている。その実現に向け、世界中のさまざまなプレーヤーがプロジェクトを立ち上げ、研究開発や実証事業を進めている。タクシー配車サービスによるシェアリングエコノミーを展開するウーバーもその1社だ。同社では「Uber Elevate」構想を掲げ、空飛ぶタクシーの商用サービス「Uber Air」の提供を2023年に開始することを目指している。

 そうした中、2020年1月に米国ラスベガスで開催されたデジタル技術見本市「CES 2020」では、空飛ぶタクシーの開発で韓国・現代自動車と提携することを発表した。現代自動車が開発を進める「パーソナル・エア・ビークル(PAV)」をウーバーエアで採用する計画だ。今後、両社は共同で米国内のコミュニティ間の移動方法へのアイデアを提唱していく予定だという。

 また、CES 2020において現代自動車は、ウーバーと共同開発・生産するPAVのコンセプトモデルである「S-A1」を公開した。ウーバーは現代自動車だけではなく、ボーイングの子会社であるAurora Flight Sciences、米国ヘリコプター大手のBell Helicopter Textronなどに対して空飛ぶタクシーのプロトタイプ製造を依頼しているが、コンセプトモデルを発表したのは現代自動車が初となる。

最高時速は約290km/h、1回の充電で100キロ運航可能

 CES 2020では、両社の契約書への署名式も行われた。現代自動車の首席副会長であるEuisun Chung(チョン・ウィソン)氏は「真に自由なモビリティを提供するため、ウーバーとの提携では自社が持つすべての技術を活用していく」と語った。

 また、ウーバーのCEOであるDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏は、「現代自動車との提携で、Uber Elevate構想はその実現に一歩近づくことができた。同社の持つ大量生産技術が空飛ぶタクシーの生産に活かされ、ウーバーは世界中のあらゆる都市で自社のプラットフォームを空へと拡大できるだろう」と述べた。

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ウーバーのCEOであるダラ・コスロシャヒ氏(左)と現代自動車の首席副会長であるチョン・ウィソン氏
(写真:現代自動車提供)

 S-A1の開発にあたり、同社では「安全」「静寂」「リーズナブルな価格」「乗客を中心に据える」の4つを原則として心掛けていると説明した。

 S-A1は、「eVTOL」と呼ばれる電動式の垂直離着陸型航空機だ。最高時速は約290km/h、飛行高度は300~600メートルで、4人の乗客を1回の充電でおよそ100キロ運ぶことができるという。「distributed electric propulsion」システムによって複数のローター、プロペラに電力を支給している点が特徴だ。小型のローターを複数用いることで、単一ローターのヘリコプターなどと比べて騒音を軽減している。

 また初期はパイロットによる操縦が想定されているが、いずれは自動操縦、つまり陸の自動車の自動運転同様にパイロットが存在せずに無人運行が可能になると説明する。

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