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全世界で2番目の売り上げと5番目の加入者数を誇るメディアコングロマリットのコムキャスト。同社は米NBC、米MSNBCなどのテレビネットワーク、ユニバーサル映画などを傘下に抱える。そのコムキャストは「Xfinityホーム」というホームセキュリティに特化した部門を設立し、米国では最大規模のホームセキュリティプロバイダーの一角となっている。なぜコムキャストは、ホームセキュリティビジネスに参入したのだろうか。
コムキャストがホームセキュリティ分野に進出した理由
5月22日、サンフランシスコで開催されたパークスアソシエイツ主催の「コネクションズ」というコネクテッド・ホームに関するカンフェレンスで、Xfinityホームのバイスプレジデント、ゼネラルマネージャーであるデニス・マシュー氏が、基調講演「The Smart Home Solutions Consumers Want」に立った。そこでは、同社がこのビジネスを立ち上げる際に行った顧客調査、ホームセキュリティの販路の広げ方などについて解説された。
コムキャストがホームセキュリティに乗り出すきっかけとなったのは、同社が提供するビデオ、インターネットサービスなどを、シームレスに顧客にパッケージとして提供しようとしたことだった。
IoTという言葉がまだ一般に浸透していない当時、顧客がサービスをパッケージとして受け入れるにはどのような方法が最も望ましいかを調査した結果、ホームオートメーション、ホームセキュリティの分野に将来性があると判断されたのである。
ただし、当時は「プロが行うホームセキュリティの設置に興味がある」と回答したのは全体の25%程度で、日本でいうセコムのような企業とインターネットと連動したホームセキュリティの違いは、それほど深く認識されているわけではなかった。
しかしマシュー氏は、Xfinityホームが設立された2012年から2019年の間に、顧客側の大きい変化があったという。現時点で同じ質問を行ったところ、「興味がある」と回答したのは、実に80%だった。この間に、IoT、ホームオートメーションという概念が一般的になり、さまざまな競合他社が生まれ、広告などにより認知が広がったのである。
顧客がホームセキュリティに期待する機能・サービス・支払い方法
こうして広がった顧客ベースに対し同社が行ったアンケートでは、顧客がホームセキュリティに期待する機能やサービスも明らかになっている。まず、52%の顧客が「1つのプラットホームですべての機能をコントロールできること、使い方が簡単であること」が最も大切だと感じている。
つまり、セキュリティもホームオートメーションの一環として、一本化されることが顧客にとっては好ましい。たとえば、スマホアプリ1つでドアの開閉、アラームの設定/解除などが可能で、さらには同社のコアサービスであるビデオ配信なども制御できるような世界だ。
さらに鍵となるインターフェイスだが、「音声コマンドを好む」と答えた顧客が全体の37%だったという。アプリを手で操作するよりも、「ドアをロック」などの音声で簡単に操作ができるインターフェイスが好まれているということだ。
支払い方法についても、顧客の75%が「1回の支払いではなく分割払いを好む」と答えた。ホームセキュリティ関連機器の初期費用は、数百ドルから数千ドルが一般的だ。これを分割での支払いオプションにしたところ、同社の売り上げが急激に伸びたという。
マシュー氏によると、24ヶ月の分割払いオプションを提供したところ、39%の売り上げ増が見られた。さらに60ヶ月無利息の支払いオプションでは、実に47%もの売り上げ増を記録したという。
【次ページ】3種類のセキュリティを用意し、全米400箇所に店舗を展開
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