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- 2019/02/12 掲載
悪徳業者横行?「遺品整理ビジネス」の現場で起きていること
孤独死の増加で需要が拡大
2017年時点の日本の総人口は1億2671万人で、このうち65歳以上の人口は3515万人となり、総人口に占める割合は27.7%となった(内閣府「平成30年版高齢社会白書」)。また、内閣府の調べでは65歳以上人口は、団塊の世代が65歳以上となった2015年に3387万人となり、同世代が75歳以上となる2025年には65歳以上人口が3677万人に達すると見込まれている。65歳以上人口は増加傾向が続き、2042年に3935万人でピークを迎え、その後は減少に転じると推計されている。人口減少のあおりを受けて高齢化率は上昇し、2036年には3人に1人が高齢者となる計算だ。
超高齢社会を迎える日本では、一人暮らしの人が誰にもみとられることなく、ひっそりと部屋で最期を迎える「孤独死」が増えている。特に独居老人の孤独死は、社会的な問題となりつつある。そんな中、故人の遺品整理ビジネスが注目を集めている。
ある68歳の男性の場合
遺品整理とは、故人の部屋を片付けて清掃し、不要品などを整理することだ。相続をはじめ、不動産売買も必要となるため、親子・親戚関係にも影響を及ぼすといわれる。これまでは遺族が行うのが一般的だったが、孤独死が増加したことから、現在ではプロの遺品整理士に任せることも増えてきた。68歳で孤独死をしたある男性は、生涯独身だったこともあり、男性の兄妹が遺品整理を行うことになった。しかし、故人宅の清掃に加えて、マンションの売却や相続の手続きが必要となり、自分たちで行うのが非常に困難だった。
途方に暮れていたところ、遺品整理業者の存在を知り、遺品整理を依頼。家財や蔵書などの遺品を整理し、マンション売却は不動産業者に、音信不通だった兄弟への財産分与も行政書士と税理士に任せることでトラブルなく1年ほどですべての手続きを済ませることができたという。もはや、遺品整理は専門家の手を借りずに済ませることは難しい状況になりつつある。
「生きているうちの片付け」の意味
家じまいとは、親世代が住む実家や住居を将来的な売却を見据えて、事前に片付け・整理することだ。
核家族化で親子が疎遠になりがちなこともあり、高齢となった親世代はなかなか家の片付けが進まない。ましてや子どもの頃の思い出の品や、もったいないからと捨てられない家具や衣類などが山のようになり、スペースを占領しているケースが少なくないという。
家が片付かないことは、健康問題や事故にもつながる。屋宜氏は、片付けによる「バリアフリーの実現」が急務だと警鐘を鳴らす。
「部屋で転倒して足を骨折し頭を強打した80代の男性からは、介護ベッドを置けるように部屋を片付けてほしいと依頼されました。部屋に行くと床一面に弁当箱や雑誌などのゴミが溢れ、腰の高さに積み上がっているところもありました。このような状況では転倒してしまうことも当然のことでした。こうした状況は、高齢者の自宅に共通するケースでもあります」(屋宜氏)
片付けの有無によって資産価値の数百万円の開きが
家を片付けることは、不動産としての価値を引き上げることにもつながる。『家1軒まるごとスッキリ! 週末3日でかなう片づけ術 ビフォー → アフター写真でよくわかる!』(宝島社)の著者で片付けアドバイザーの石阪京子氏は、「片付いている家と片付いていない家とでは資産価値が大きく変わってくる」と言う。
「マンションの売却に立ち会うこともありますが、片付いていない部屋の内覧では、入り口についた段階で『もう、入らなくていいです』となる場合もあります。特に水回りが汚れているケースだと、リフォームに200万円くらいかかることもあります。同じマンションで同じ間取り、日当たりが同様の物件でも、片付いてない場合はお客さんからの値下げ交渉が入り、片付いている場合との間に数百万円の開きが出るケースもあります」(石阪氏)
さらに宅地建物取引士でもある石阪氏は、一戸建て物件についても査定額に開きが出ると説明する。「昔は、家屋の解体では“ミンチ解体”と呼ばれ、建物と中身をそのままごちゃまぜに潰してしまう手法が取られていました。高齢者の方にすればこのやり方が当たり前となっていて、『私が死んだら家財ごと潰してくれたらいいから』ということが多いです。しかし、1990年代に入り『建設リサイクル法』の改正でこれができなくなりました。多くの家財や不用品をゴミとして分別し、解体するとなればその費用は100~200万円くらいになることもあります。その分、買いたたかれる事例も少なくありません」とその差を指摘する。
同氏は「日頃から市町村の分別収集を利用し、ゴミ出しをするように心がけることが資産価値を上げることにつながる」とアドバイスする。
【次ページ】家じまいをうまく進めるための心得
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