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  • 2018/08/01 掲載

精神障がい者の雇用義務化、会社はどう向き合えばいいのか?

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4月、障がい者雇用義務の対象に精神障がい者が加わった。これに併せ法定雇用率も引き上げられた。障がい者の雇用義務に法定雇用率が定められ、これを満たさない場合には行政指導が入り、企業にとって大きな負担になる。今回の制度変更により精神障がい者が法定雇用率の算定基準に加わることで、どのような影響を与えるのか。また、精神障がい者を雇用する上で注意すべき点は何か。精神障がい者雇用に詳しいグランディーユ代表の小笠原恭子さんに聞いてみた。
執筆:中森 勇人
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障がい者雇用義務の対象に精神障がい者が加わったが、どうなる?
(© BRAD - Fotolia)

株式会社として精神障がい者の自立を支援

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 2018年4月から精神障がいのある人の雇用義務化が始まり、法定雇用率が2.0%から2.2%に引き上げられた(従業員数が45.5人以上の企業に適用)。これにより、積極的な精神障がい者の雇用の促進が期待されている。

 厚生労働省が発表した2016年の障がい者雇用状況集計結果によると、精神障がい者の雇用は順調に増え、労働者数は4万2000人あまり(時短勤務含む)で、障がいのある労働者全体の8.9%にあたる。また、今回の改定で精神障がい者の雇用率の算定方法が時短労働者1人につき0.5から1に引き上げられたことも雇用の追い風になると考えられる。

 3年後までには法定雇用率がさらに0.1%引き上げられることから、現在失業している精神障がい者の雇用や再雇用の増加が見込まれている。

「精神障がい者」とは?

 障害者基本法では、障がい者を下記のように定義している。

 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。

 知的障がい者は読み・書き・計算などの知的行動に支障があり、知能指数が基準以下の場合に認定されるもので、精神障がい者は脳や心の機能や器質の障害によって起きる精神疾患のある人のことを指す。

 今回、雇用義務化が始まった精神障がい者はうつ病や双極性障害といった気分障害や統合失調症、パニック障害といった不安障害、ADHDなどの発達障害または薬物依存症といった物質関連障害などの症状を呈し、専門医により診断され、申請をすることにより、認定されれば精神障がい者手帳が交付される。

 近年急増しているうつ病は15人に1人はかかると言われているほど頻度の高い疾患で、生活に支障を来すような気分が沈む状態が長く続く。その際に疲労感、倦怠感、睡眠障害、 食欲不振、体重の減少、頭痛・腰痛などの身体的不調を来たすのが特徴だ。

 こうした症状により、精神障がい者の通常勤務が難しくなり、長期休暇や退職を余儀なくされるなど、社会問題化している。また、職場の理解が得られず「怠け者」とみなされ、疎外されることも症状の悪化につながっていると指摘する専門家も少なくない。

 精神障害は原因不明なものも多く、また治療方法がはっきりしていないものも少なくない。そのため治療が長引く場合もあり、社会生活が困難になり、経済的に不安定な状況に陥るなどの問題が生じている。また、社会復帰には周囲の協力が不可欠であることから、今後、精神障がい者の症状や特徴、治療方法などの周知徹底が望まれる。

精神障がい者雇用の壁

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グランディーユ代表
小笠原恭子さん
 「今回、精神障がい者の時短勤務者の算定が0.5から1に引き上げられるとのことですが、ここで定義されている一週間の所定労働時間は20時間以上30時間未満ということです。雇用の現場からするとまだまだ所定労働時間が長いというのが本音です」と語るのはグランディーユの小笠原恭子代表だ。

 グランディーユは知的・精神障がい者、ニート、ひきこもり層の経済自立を支援している。株式会社として精神障がい者の自立支援をしている企業は全国でも珍しい。同社のある大阪府堺市では初の試みとなる。

 精神障がい者の離職率は高い。小笠原さんはその大きな要因として長時間勤務の難しさを挙げる。そのため、グランディーユが運営するカフェ「メゾン・ド・イリゼ」(以下イリゼ)では、雇用開始時の従業員は週1時間からはじめ、徐々に週2、3日と増やしていく。

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イリゼで提供しているメニュー

 だが、少しするとしんどくなり、場合によってはそこから一週間勤務ができないこともよくあるのだという。出勤したり休んだりを繰り返し、週に換算すると8時間前後の勤務になるのが通常。精神障がい者雇用の壁を露呈している。

 では、どのように精神障がい者と向き合えばよいのか。

【次ページ】精神障がい者に必要なサポート
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