0
会員になると、いいね!でマイページに保存できます。
共有する
多くのユーザーに支持されているDropboxですが、最近はその使い方に変化が起きています。それは、ビジネスで利用するユーザーが急増しているということです。これまで個人でDropboxを使っていたユーザーが、仕事でもその利便性を活用する動きが活発化しているのです。ここではDropboxの問題点、さらにその企業版である「Dropbox Business」の基本を解説するとともに、実際の企業での導入事例も紹介します。
井上健語、池田利夫、岡本奈知子 監修:サテライトオフィス
井上健語、池田利夫、岡本奈知子 監修:サテライトオフィス
ビジネスでの利用が本格化
Dropboxは使い方が簡単で同期が高速、巨大なファイルも手軽に共有できる。こうしたメリットを経験したら、仕事で使いたいと考えるのは自然なことです。ただし、それにはちょっと問題があります。
たとえば、使い方が簡単なので、仕事のファイルも簡単に共有できてしまいます。複数のデバイスで使えるので、自宅のパソコンや個人所有のiPhoneなどで、重要なデータにアクセスできてしまいます。
こうした状態は、企業の情報システム部門が管理できていない隠れたITという意味で「シャドウIT」と呼ばれることがあります。もちろん、企業にとってシャドウITは、セキュリティ面でもガバナンスの面でも大きな問題です。
そこで登場したのが、企業向けのDropbox Businessです。詳細は次項以降で説明しますが、以下ではまず、Dropboxで選択できるプランについて、まとめておきましょう。
Dropbox Businessとは
ここでは、企業向けに開発されたDropbox Business(Standard/Advanced/Enterprise)に絞って、その特徴を説明します。Dropbox Businessを利用することで、個人向けのDropboxでは解決できない企業におけるさまざまな課題を解決できるとともに、より効率的かつ安全にDropboxを利用することができます。
前述したように、企業で個人向けのDropboxを利用することには、いくつかの問題があります。企業で利用する以上、企業で求められるセキュリティと管理機能が必要になるからです。
そこで開発されたのが、企業向けのDropboxです。企業向けのDropbox Businessには、Standard/Advanced/Enterpriseの3種類があります。「Dropbox Business Standard」は、10人程度の小さい組織から中小企業に向いています。1組織や企業の全員で2TBは使用しないとわかっている場合は、「Dropbox Business Standard」でも問題ないでしょう。
「Dropbox Business Advanced」は、より高度な管理機能が必要な企業に向いています。特に管理者権限を他のメンバーに付与してグループ単位で管理きるので、人数が多い場合は、「Dropbox Business Advanced」が向いています。
「Dropbox Business Enterprise」は大手企業向けで、契約方法も個別になります。機能や操作性は本書の内容が参考になりますが、契約方法については、個別にお問い合わせください。
Dropbox Businessにだけできること
Dropbox Businessには、個人向けのBasicとPlusの機能がすべて含まれています。したがって、これまでBasicやPlusを使っていたのであれば、Dropbox Businessを問題なく利用できます。以下では、BasicとPlusには用意されていないDropbox Business特有の機能について説明します。
管理コンソールによる管理機能
Dropbox Businessには、管理者が存在します。管理者は、メンバーを登録・削除したり、メンバーが共通で利用できるチームフォルダという特殊なフォルダを管理したりできます。こうした管理者用の機能を利用するために用意されているのが「管理コンソール」です。なお、管理コンソールを利用できるのは、チームの管理者だけです。一般のメンバーは、管理コンソールを利用することはありません。
複数メンバーによる共同作業
Dropbox Businessは、複数のメンバーで利用することを前提に開発されています。たとえば、「チームフォルダ」は管理者だけが作成できる特殊なフォルダで、チームのメンバー全員で自動的にファイルを共有できます。また、「総務部」や「営業部」のような組織単位でメンバーをグループに分けて管理する機能も用意されています。さらに、複数のメンバーで1つのファイルにコメントを設定することもできます。
スマートシンク
スマートシンクは、クラウドにあるファイルをローカルのファイルと同様に扱えるようにする機能です。ディスク容量の小さいパソコンで、ローカルのハードディスクを消費することなく、クラウド上の大量のファイルを扱えるようになります。大勢のメンバーで共有フォルダを活用する際には、非常に効果的な機能です。
複数の管理者権限
Dropbox BusinessのAdvanced以上では、管理者にも「チーム管理者」「ユーザー管理者」「サポート管理者」が用意されています。メンバー数が多い場合は、これらの管理者権限を他のメンバーに付与することで、組織全体を効率的に管理することができます。
バージョン管理と削除ファイルの復元
Dropbox Businessでは、ファイルを更新するたびに古いバージョンのファイルが残ります。このため、古いバージョンのファイルを簡単に復元することができます。また、削除したファイルも残るため、すべての削除ファイルを、復元することができます(完全に削除することも可能です)。なお、復元できる期間は120日間となっています。
メンバーのアクティビティ監視
企業においては、社員のシステム上での活動を履歴として追跡できることが重要です。Dropbox Businessでは、メンバーがDropbox上で実行したすべての活動は「アクティビティ」として記録されます。管理者は、特定のメンバーや特定の日付のアクティビティを、いつでも確認することができます。
遠隔削除などの高いセキュリティ機能
さまざまなセキュリティ機能が用意されているのもDropbox Businessの特徴です。たとえば、管理者はメンバー全員に2段階認証を設定させることができます。また、利用できるデバイスの数を制限したり、フォルダやファイルの共用できる範囲を制限したりすることができます。さらに、紛失したデバイスからDropboxを自動的に削除する遠隔削除機能も用意されています。
【次ページ】ぴあの導入事例、なぜDropbox Businessだったのか?成果は?
関連タグ