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- 2017/03/16 掲載
SENDAI for Startups!でスタートアップ企業が見せた「東北へのこだわり」
東北を盛り上げるスタートアップ企業たち
会場となったのは、東北大学百周年記念会館 川内萩ホール。昨年の757名に続き、今年も700名近い参加者が集まった。面白いのは、協賛企業賞の他に、来場している参加者全員が審査員となって投票する「共感賞」が用意されているところ。得票数の多い順に、プラチナ、ゴールド、シルバー各1名と、ブロンズ4名が決定する仕組みだ。
参加者の共感を最も集めたプラチナ共感賞に輝いたのは、福島県代表として登壇した、GNSの常務取締役 廣田 拓也氏。同社は耕作放棄地でエゴマを作って油を作る穀物加工業を営んでいる。震災以後、福島県の食材流通量が減ったことから、穀物以外の農産物販売も支援することになった。
同社は、食材単体で販売するのではなく、ドライフルーツやスパイスをボトルに詰めたサングリアの半製品などを開発した。フルーツやスパイスという「モノ」として販売するのではなく、自分の好きなワインを注いでサングリアを作り上げるという、「コト」を販売することにシフトすることでヒット商品を作り出してきた。
ゴールド共感賞を受賞したのは、山形県代表のWAKAZE 代表取締役 稲川 琢磨氏。日本で初めてのファブレス日本酒メーカーとして、5人でスタート。昨年法人化し、山形県鶴岡市で生産以外を一気通貫で行なっている。「日本酒を世界酒に」を合言葉に現在はORBIA SOL、ORBIA LUNAの2種を商品化に向け開発している。
3位となるシルバー共感賞に食い込んだのは、SPARK! TOHOKU枠から参加した米村 詩枝菜氏。SPARK! TOHOKUも、東北の起業家を応援するために2016年11月に開催されたピッチイベントで、米村氏は現役高校生ながらほとんどの賞を独占、特別枠として本イベントにも招かれていた。米村氏を受賞に導いたのは宮城県の各市町村を巡ってゆるキャラを収集するアプリ「宮城県観光アプリ-GoTo-」。ポケモンGo!と比較されることが多いというが、2015年に企画は固まっていたという独自アプリだ。今後は県内自治体の公式ゆるキャラとの連携や宮城以外の東北地方にも広げたいとプレゼンテーションした。
東北のアントレプレナーたちが語る起業秘話
バンザイ・ファクトリー 代表取締役 高橋 和良氏と、JDSound 代表取締役 宮崎 晃一郎氏はパネルディスカッションに参加した。モデレーターは、クラウドファンディングサービス「Makuake」を運営するサイバーエージェント・クラウドファンディングの代表取締役社長 中山 亮太郎氏が務めた。バンザイ・ファクトリーは岩手県陸前高田市の企業であり、地元の産物にこだわった商品開発に取り組んでいる。主力製品は椿の葉を使った椿茶や、岩手県産の山桜から1人ひとりの手の形に合わせて掘り上げた盃など。
JDSoundは、宮城県仙台市から育ったスタートアップ企業のひとつ。Makuakeで募った資金でGODJというコンパクトなDJ機器を製品化した。プロアマ問わず多くのユーザーに支持され、ユーザーからのフィードバックを元により本格的なGODJ Plusを開発。こちらはMakuakeで史上最高額となる5,300万円の出資を得て、市販化に向けて動いているところだ。
【次ページ】スタートアップ企業が東北にこだわる理由
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