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  • 2016/12/22 掲載

デロイトが予測するモビリティー革命 「自動車は所有とシェアの二極化が進む」

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デロイト トーマツ コンサルティングが自動車業界の今後を占う大胆な予測を交えたレポートの発表を行った。同社主催で多くの記者を集めたラウンドテーブルでは、PHEV・ZEVへのシフト、AI・自動運転によるモビリティの変革、自動車メーカーやサプライヤービジネスの変化など多数の視点が紹介された。とくに環境問題、IoT、自動運転のような問題は、消費財としての自動車の在り方を変え、既存の自動車産業モデルの見直しを迫る影響が予想される。
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自動車は所有とシェアの2極化が進む
(© sp4764 – Fotolia)


モビリティー革命を後押しする要素のひとつは「環境問題」

 デロイト トーマツ コンサルティングは10月に『モビリティー革命2030』という書籍を上梓している。12月5日に開催された記者向けのラウンドテーブルでは、この内容をベースに自動車業界の今後を占う大胆な予測が語られた。

 ラウンドテーブルに登壇したのは、全体監修を担当したデロイト トーマツ コンサルティング 執行役員 佐瀬真人 氏である。まず佐瀬氏は「日米欧といった先進国がけん引していた新車販売市場は、2015年に全体の半分にまで落ち込み、今後は日米欧以外の新興国での販売が増え続け、2030年にはグローバルでの新車販売比率は新興国が60%を超える」という予測数値を示した。

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デロイト トーマツ コンサルティング
執行役員
佐瀬真人 氏

 また、環境問題やIoTといった社会情勢や技術トレンドも自動車産業に大きな影響を与えている。2015年、パリで開催されたCOP21でも改めて確認されたが、平均気温の上昇を産業革命時から「+2℃未満」に抑えるには、相当レベルのCO2削減が必要となる。

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COP21の目標達成には、今までにないレベルで電気自動車の普及が必要

 デロイトの分析・予測シナリオでは、現在新車販売のうち各0.5%程度の割合でしかないPHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)、ZEV(Zero Emission Vehicle:電気自動車または燃料電池車)の比率を、2030年までにPHEVは15%、ZEVは10%まで高める必要があるという。さらに、2040年にはすべての内燃機関車両の販売をなくし、2042年にはハイブリッド車の販売も終了させなければならない。

 この予想はあくまで「+2℃未満」を達成するために必要な指標であり、実際にそのとおりの推移になるかどうかは未知数だが、世界の主要自動車メーカーはCO2削減へのコミットを表明しており、中国やインドなど大気汚染が深刻な国の社会的要請は無視できないものだ。佐瀬氏は「CO2削減要求は、今後のモビリティー社会の変革を加速するイネーブラー(後押しするもの)となりうる」とすると説明した。

ミレニアル世代を中心にニーズが拡大するカーシェアリング

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 また中国やインドは、都市部への車の乗り入れをナンバープレートで規制している。これによってインドではライドシェアが活発化し、専用アプリが利用者のマッチングを後押ししている。つまり、交通渋滞や環境汚染などの社会問題は、車の利用スタイルや所有スタイルに影響を与え始めているのだ。

 カーシェアリング市場は世界中で拡大しており、中国のカーシェアリング市場は、2014年の実測規模から2030年には10倍くらいに拡大するとデロイトは試算している。グローバルな世代別の意識調査でも、20~35歳のミレニアル世代ほど他人と物を共有することに前向きな回答を示しているという。欧米では、前向きな回答は全体では40%台と半分を切っているが、アジア、中近東、中南米では軒並み70%以上と多数派になっている。

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グローバルで若い世代はシェアに対して抵抗感がない

 カーシェアリングに対しては、ほとんどの大手自動車メーカーも前向きに捉えている状況だ。海外メーカーのダイムラーやBMWは、車両販売以外のビジネスとして高級車のシェアリングをメインにTPOごとのカーシェアの提案を行っている。GMはウーバーらと真っ向勝負を宣言したほか、フォードもカーシェアリング事業を開始している。

 一方の国内メーカーも、明確な立場を表明していない(日産・ゴーンCEOのみ消極発言)ものの、各社ともシェアリングの実証実験を行っており、トヨタはカーシェアビジネスを意識したスマートキーインフラをもつ会社を買収している。

 これらの流れを踏まえて、佐瀬氏は「海外はメーカーとディーラーは独立しているが、日本はメーカー系列のディーラーがほとんどのため、カーシェアに対して積極的な発言をしにくいのではないか」と述べた。

【次ページ】2030年、自動車メーカーの平均利益率が半分以下に?
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