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  • 2016/08/31 掲載

Qosmoが「人工知能」に「カラオケ」を作らせるとこうなる

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検索エンジン、自動運転、カスタマーサポートなど、さまざまな領域で活用が進む人工知能(AI)。ビジネスにおいて活躍が期待されるが、アートの分野でも活用の動きがある。アーティスト・技術者集団であるQosmo 代表取締役 徳井 直生氏は、AIに「カラオケの歌詞を作らせる」ことを試みた。まだまだ発展の余地のあるAIだが、そんなAIを「アート」に、「カラオケ」に取り込むとどんなことが起きるのか。
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AIが作る「カラオケ」とは一体どんなものなのか


「データ」から「アート」を創ってみる

 Qosmoは2014年、伝説のF1レーサー、アイルトン・セナの世界最速ラップの走行データを用い、彼の走りを音と光でよみがえらせたり、南米チリにあるアルマ望遠鏡で捉えた「ちょうこくしつ座R星」からの貴重な電波データを利用し、950光年彼方で寿命を迎えつつある星を、音(オルゴール)と映像のインスタレーションで表現するなど、「データ」から「アート」を創るという画期的な試みを行った。



 また、デザイナー森永 邦彦のブランド「アンリアレイジ(ANREALAGE)」が今年3月のパリコレに参加した際には、視覚復号型暗号技術(Visual Cryptography)を提供した。これは、モデルが着用する衣服と、モデルと観客の間に配置されたフィルターが重なり合うと、異なるパターンが見えるという新しいテクスタイルの仕組みだ。


 このように、QosmoはAIやアルゴリズムを用いた表現の企業として活躍中だ。

 徳井氏は「AIは『賢そうに見える行為を、もう少しで実現できる仕組み(フロンティア)』と捉えるとよいでしょう。たとえばエンジンを制御することは賢そうな行為です。しかし、もしも自動運転を完璧に実現できたら、それはAIとは言わない。AIの定義は時代ごとに変わっていくものです」と語る。

もしも「DJ」が「AI」だったら

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Qosmo 代表取締役 工学博士 徳井 直生氏
 いま徳井氏らは、最新プロジェクトとしてAI-DJ event「2045」を進行中だ。これは、コンピューター・テクノロジーが人間を超える「シンギュラリティ」が起こるとされる「2045」年をタイトルに掲げ、音楽とテクノロジーの未来を、「AIによるDJ」を通して考える試みだ。

 しかし、なぜ同氏らはAIによるDJを始めようとしたのか? 近年、インターネットの普及によって、音楽メディアや音楽体験が多様化している。iTunesやSpotifyなどの新しいツールが登場する一方で、レコードやカセットテープなどのレガシーメディアも人気が再燃している。

「この現象は、音質や携帯性だけでなく、メディアとしての存在感を重視したり、音質の悪さを含めて楽しもうという姿勢があるからです。またYoutubeなどで簡単に音楽配信が可能になったことで、アーティストからファンという一方通行の関係性ではなく、双方向のフラットな関係になってきたというのもあります」(徳井氏)

 同氏は、2008年頃から音楽表現に関する数多くのプロトタイプを開発してきた。ファンがWeb上で既存音楽を組み合わせ、別の楽曲をつくり上げるマッシュアップサービス「Massh!」を提供し、ビッグデータと新しい音楽の先駆けになった。最近ではトヨタの電動3輪パーソナルモビリティ「i-Road」とコラボし、センサーからドライブ情報をiPhoneに送り、運転の行為を音楽として表現する「Sound X」も披露している。



 さらにユニークなプロジェクトとして、ステージ上のDJとオーディエンスの関係性を変える試み「Brain Disco」を企画した。オーディエンスに脳波センサーを装着してもらい、どれだけ音楽に反応しているのかをリアルタイムで集計。ある閾値以上を保っている場合は、ステージ上のDJは音楽を続けられるが、閾値以下だと交代させられるというものだ。オーディエンスからDJに対し、明示的なフィードバックをかける事例だ。



「このようにインターネットの普及や、スマホ、センサーの小型化によって、音楽もフラット化する流れが加速しています。これらをさらに進めた新しいライブの形がAI-DJ event "2045"です」(徳井氏)

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