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ガートナー ジャパンは21日、世界84カ国、2810名のCIOに調査を実施対象として、CIOが抱える次年度の課題を調査した「世界CIO調査」の結果を発表。ガートナー ジャパン 長谷島 眞時氏、山野井 聡氏は「デジタライゼーションを進めていく上で、CIOの役割がより重要になってくる」と指摘し、調査結果や先行してデジタル化に取り組むCIOの活動実例をもとに、CIOがデジタル化を推進していく上で重要な3つの逆転思考を解説した。
全世界のCIOは、積極的にデジタル化推進役を買って出る
ガートナー 長谷島 眞時氏は「テクノロジーの進化が、世の中やビジネス、ワークスタイルが変わってきていることが実体化しつつある時代」とし、今後CIOに求められる役割について次のように説明した。
「これまでの企業をITの面から支えてきたCIOがリーダーの役割を担えるのか、あるいは新たな担い手を探すのか。CIOはIT組織を、従来の役割を超えてデジタライゼーションの担い手に導くリーダーとなるために、既存のシステム部門が培ってきた知識や経験だけでなく、これまで否定されてきた考え方、あるいは対極にあった考え方も大胆に取り入れて、多様性に富んだ新たなIT組織をつくり上げていく必要がある」(長谷島氏)
2015年のIT予算の増減は、全世界で前年比プラス1.0%、日本でマイナス0.8% (いずれも加重金額ベースの平均) だった。日本は、CIOの回答者数ベースでは「増やす」(36%) が「減らす」(19%) を上回ったものの、金額ベースでは依然としてIT投資には慎重になっているとの結果になった。
また「企業全体でデジタライゼーション (以下、デジタル化) を推進する場合の推進役の役割配分」を聞いたところ、日本のCIOの平均は「CIO(自身)」が34%(世界は47%)、「事業部門リーダー」が28%(世界は17%)、「その他の役職」が38%(世界は36%)という結果になった。
山野井氏は「デジタル化を進めていく上で、日本のCIOは事業部門のリーダーが推進すべきだと思っている。これは日本のCIOが慎重。これに対して全世界のCIOは自分たちがリードをしなければ自身のポジションが奪われるのではという意識からか、デジタル化への関与に対してアグレッシブになっている」と説明した。
日本企業のIoTへの取り組みレベルは世界で見ても高い
日本のCIOが2015年に重点投資を計画するテクノロジのトップ5は、上から順に「クラウド」「ERP」「BI/アナリティクス」「モバイル」「IT基盤/データセンター」だった。順位の変動はあるものの、全世界と日本のCIOの回答した構成に大きな差は見られなかった。
「一方で『ソーシャル』については日本も世界もランキング外となった。これは設問が投資規模も含めた順位を尋ねたものとなっているためで『ソーシャル』に対するCIOの関心は決して低くはない」(山野井氏)
「モバイルへの取り組み」について、日本と全世界のCIOとで認識の違いが見られた。「対顧客」に対して「モバイルを前提のインタフェースとして『体験価値』を設計」しているのは、日本が44%に対し、世界は26%だった。これについて山野井氏は「モバイルファースト的アプローチは、日本の方が意識が強くなっている」とした。
同様に、モノのインターネット(Internet of Things:IoT)や3Dプリンティングといったスマートテクノロジーについても日本と全世界のCIOで回答の違いが見られた。日本はIoTに対して「投資済み・展開済み」と回答した日本のCIOが19%、全世界のCIOが7%、3Dプリンティングに対しても同じく日本のCIOは11%、全世界が3%だった。山野井氏は「全世界の平均傾向からみれば、スマートテクノロジーに対する日本の取り組みレベルは高い」と分析した。
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