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- 2014/12/16 掲載
国土交通省も推進するコンパクトシティとは何か?富山市の事例にみる中心市街活性化
「お団子」を「串」で繋ぐ都市作りを、3つのアプローチで実現する
住民は移動に車を使うケースが圧倒的に多く、自動車保有率は全国2位。一方で公共交通はどんどん利用者が減ってきており、特に路線バスではその傾向が顕著だという。京田氏は「富山市は、『薄く広くひろがってきた街』です」と説明する。
街が薄く広がる問題は何なのか。まず、ゴミ収集費や除雪費といった都市管理コストがかさむ。また、ホームヘルパーが訪問介護で各家庭を回る際、訪問先での介護時間より移動時間のほうが圧倒的に長いというデータもあるそうだ。
「富山市に限らず、全国の地方都市の多くは同じ状況です。富山市では、こうした課題にも対応できる地方都市の1つの未来像を提示するために、10年ほど前から『コンパクトシティ戦略』を打ち出しました」
富山市が推進する「コンパクトシティ」とは何か?
2014年8月、地方都市で医療施設や商業施設を街の中心部に集めて「コンパクトシティ」を推進する「改正都市再生特別措置法」が制定された。コンパクトシティは「鉄軌道をはじめとする公共交通を活性化させ、その沿線に居住、商業、業務、文化等の諸機能を中央に集積させた都市」のことだ。富山市では、公共交通を軸とした拠点集中型のコンパクトなまちづくりを目指している。鉄道駅周辺や幹線バス路線のバス停周辺といった複数ある拠点『お団子』と呼び、それらを電車や幹線バス路線といった公共交通という『串』で繋ぐ、というものだ。
「これを実現するためには3本の柱が必要です。1つめは串を作るための『公共交通の活性化』。2つめがお団子のエリアに人を集める『公共交通路線地区への居住促進』。そして3つめが様々な串の出発点となる『中心市街地の活性化』です」
公共交通の活性化を目指して、日本初の次世代型路面電車システムを導入
1つめの公共交通の活性化では、まずJR富山駅から海に向かうJR富山港線の利用者減少が続いていたため、ここに公設民営の考え方を導入し、日本で初めてとなる本格的なLRT(Light Rail Transit:次世代型路面電車システム)へと再生した。富山ライトレール(愛称ポートラム)と呼ばれるもので、開業は2006年4月、長さは7.6キロだ。「富山ライトレールの整備に合わせて1時間当たりの運行本数を増やし、新駅も設置し、さらに低床車両の導入やバリアフリー化、ICカードの導入などの施策を行いました。富山ライトレール導入の結果JR時代に1日約3000人だった乗客数が平日は約2.1倍、休日には約3.5倍になりました。日中に、高齢者の利用が増加したことも大きな成果です」
【次ページ】富山市が中心市街地に莫大な投資をする理由
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