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- 2014/11/19 掲載
三菱地所レジデンス 副社長に聞く、不動産マーケットは短期的・中長期的にどうなる?
三菱地所レジデンス 脇 英美氏インタビュー(前編)
年間で5,600戸程度の物件を供給
──まず、貴社の事業内容や理念について教えてください。脇 英美氏(以下、脇氏)■三菱地所レジデンスは、2011年1月に三菱地所と三菱地所リアルエステートサービス、藤和不動産の住宅分譲事業が統合してスタートしました。これにより、開発から販売・管理まで一体となり、長い目でお客様をサポートできるようになりました。リフォームしたい、住み替えたい、といったご要望も、我々が言うところの「バリューチェーン」によって、お客様に幅広く提供できる体制が整えられたわけです。
我々は、「暮らしに、いつも新しいよろこびを。」を大きな理念に掲げています。このビジョンに沿って、安心・安全・快適なマンションブランド「ザ・パークハウス」を年間で5,600戸程度、安定的に供給していこうと考えており、マンションでは首都圏、関西圏、札幌、仙台、名古屋、広島、福岡など国内の主要都市に加え、海外展開も図っているところです。また戸建事業やリノベーション事業にも注力しています。
──リノベーションは、最近よく耳にしますね。
脇氏■リノベーションマンション分譲事業は、中古マンションを一戸単位もしくは一棟単位で購入し、リノベーションして再販する手法ですが、お客様からは新築より割安でありながら、「ザ・パークハウス」同等の設備仕様を採用している点などを高くご評価いただいております。
また、中小ビルのリノベーション賃貸事業(Reビル事業)も行っています。築年数が経過し競争力が低下した中小ビルを一括で借り上げ、耐震補強を含む改修を行い、バリューアップを図った上で貸し出すものです。条件が揃えばSOHOにも対応できるようにしています。物件はコンクリート等の素材をわざと剥き出しにしたスケルトン状態とし、お客様が自由に使える空間です。20坪ぐらいの部屋から用意し、ベンチャービジネスなどをターゲットに需要を掘り起こしています。
短期的・中長期的な不動産マーケットの予測は?
──消費者動向の変化などを踏まえて、今後の不動産の市場はどのように推移するとお考えですか? まずは短期的なマーケットの予測について、教えてください。脇氏■直近のマーケットについては、すでに多くのマスコミで紹介されている通り、新規供給戸数は昨年と比べて20%以上減少しています(1月から9月までの結果)。これは2013年の政権交代後、いわゆる「アベノミクス効果」でマンション市況が非常に好調になり、旺盛な需要に応えて相次いで前倒し供給されたことによる供給減、という供給側の事情によるところが大きいと認識しています。
そうした景気浮揚に加えて、昨年に関しては9月の東京五輪の決定により湾岸エリアの物件(注1)の販売が極めて好調となったという特殊事情がありました。こうした特殊事情のある2013年との比較では、今年は数字上では減っているものの、特殊事情のなかった2012年との比較では、初月契約率も上回っており、当社においても好調な販売状況が継続されているため、マーケットは依然堅調と考えています。
注1:三菱地所レジデンスと鹿島建設が開発を進めたツインタワーマンションプロジェクト「ザ・パークハウス 晴海タワーズ」など
──では、中長期的なマーケットについてはいかがでしょうか?
脇氏■今、アベノミクスを掲げる政府によって金利は抑えられています。お客様の所得が上がっていけば、今後もマーケットは順調に推移するのではないかと考えています。
とはいえ、首都圏の世帯数は2025年頃にピークを迎え、その後は減少していくものと予測されています。また、世帯構成についても、現状で既に「夫婦と子供世帯」といういわゆるファミリー層が突出する構成ではなくなり、夫婦だけで共働きをするDINKSや働くシニア層も増加しています。またインバウンドの視点で考えますと、外国の人々の住まいとしても注目されています。このように需要構成やライフスタイルが多様性に富んできたので、さまざまな住宅ニーズに即した付加価値の高い商品のバリエーションを持たなければならないと考えています。
【次ページ】 高品質・高付加価値、お客様にとって「一生もの」となる住まいづくり
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