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  • 2014/05/22 掲載

クロネコヤマトのIT戦略、進化を続ける「宅急便」とそれを支える「NEKO」システム

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大正8年(1919年)創業、クロネコヤマトでよく知られるヤマトグループ。1976年には「宅急便」を開始し、初日に11個だった荷物取り扱い数は、今や年間16億6500万個にまで拡大した。2013年3月度の売上高は1兆2823億円にのぼり、同年7月にはさらなる進化を目指してバリュー・ネットワーキング構想を発表した。ヤマトホールディングス IT戦略担当 シニアマネージャー/ヤマト運輸 情報システム部長の田中従雅氏は「この取り組みは、ヤマトグループの中で創業以来3回めとなるイノベーション」と語り、「顧客視点のソリューションとコスト競争力に裏付けされた顧客満足を実現する」と強調した。いまやネット通販などでも重要な物流網を支えるIT基盤はどう進化を遂げているのだろうか。

顧客に新たな付加価値を提供する「バリュー・ネットワーキング構想」

photo
ヤマトホールディングス
IT戦略担当
シニアマネージャー
ヤマト運輸
情報システム部長
田中 従雅 氏
 ヤマトグループにおける1回目のイノベーションは、創立10年めに日本最初の路線事業者(=特別積み合わせ貨物運送事業者)になったこと、2回目が1976年以降、宅急便事業に大きくシフトしたこと、そして3回目が2013年7月に打ち出した「バリュー・ネットワーキング構想」による新たな価値の提供だ。

 ガートナー ITインフラストラクチャ&データセンターサミット2014で登壇した田中氏は、「このイノベーションの目的の1つは、事業構造を変えていくこと」だと説明した。

 元々宅急便はC to C(消費者から消費者)に絞ったサービスとしてスタートしたが、現在ではB to Cの荷物が大部分を占めるようになってきている。そこでビジネスユースの顧客にとっても価値ある仕組みの構築を目指すという。

 その中で「バリュー・ネットワーク」の根幹を成すものとして位置づけられているのが、アジア宅急便ネットワーク、ゲートウェイネットワーク、ラストワンマイルネットワークの3つのネットワークだ。

 この中のラストワンマイルは、最後の目的である自宅までの宅配を行うこと。「まさに宅急便の強みとなるもので、我が社の最大の特長。今後、軒先やイエナカにおける各種代行サービスの提供など、高付加価値な生活支援、地域支援を目指す」。

 そのラストワンマイルネットワークをアジア圏に拡大したのが、アジア宅急便ネットワークで、既に2010年からサービスを開始している。ヤマトのグローバル展開の一環として位置付けられるものだ。

 そしてゲートウェイネットワークは、配達時間のさらなる短縮を実現するためのもの。現在の宅急便ネットワークは、トラックターミナルとなるベース店が76店あり、1日に約4万台の車両が稼働している。1つのベース店に集約された荷物は毎日21時を待ち、残りの75店に向かって一斉にベース店を出発することになる。

「しかしこのルールでは、消費者が帰宅してネット通販で商品を買うのが21時を過ぎてしまうと、ショップ側の受注から出荷までの業務は翌日に回ってしまう。すると品物の発送は翌日の21時を待たねばならず、お客さまの手元に届くのは、商品を買った翌々日になる。そこで夜の21時に頼んだ品物を翌日の21時に受け取ることができれば、お客さまはうれしいだろうという発想が出てくる」

 そこでヤマトでは、新たにゲートウェイという物流拠点を設け、25時あるいは28時にゲートウェイを出発する便を作ることで、21時注文の品物でも翌日の夜までには届ける体制を構築した。

「2013年8月に厚木ゲートウェイ、9月には日本最大級の羽田クロノゲートを竣工した。さらに国内の高速化だけでなく、沖縄と成田にある物流ハブも組み合わせることで、よりスピーディな海外輸送を実現していく」

画像
バリュー・ネットワーキング構想の全体像
(出典:ヤマトHD講演資料)


【次ページ】ヤマトを支える情報システム基盤「NEKOシステム」
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