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- 2014/03/25 掲載
ガートナーが唱えるペース・レイヤ戦略とは? 増加続ける企業内アプリを整理する方法
アプリケーションを3つのレイヤで考えるペース・レイヤ戦略
ビジネスリーダーが通期の戦略だけでなく、現四半期の戦略に沿ってさまざまな施策を進めなければならない一方、ITリーダーはプロジェクトのバックログが18か月分も残っているという状況に置かれている。さらにCFOからは、継続的なITコストの削減要求が突き付けられている。
「これによって非常に大きな不均衡が生まれている。ビジネス側の需要に対して、IT側のキャパシティと予算が足りない。だから必要不可欠なビジネス・ケイパビリティ(=組織の能力、強み)の提供も大幅に遅れてしまう。そこで我々は、ペース・レイヤの観点からアプリケーション戦略を打ち出した」
ガートナーの提唱するペース・レイヤ戦略は、アプリケーションを使用目的と変更の頻度で分類し、分類ごとに、異なる管理とガバナンスのプロセスを定義する新しい手法で、アプリケーションを3つのレイヤに分類して考えるものだ。
まず1つめが記録システムで、トランザクションの処理やマスタデータの管理を支援するアプリケーションだ。ほとんどの組織で一般的なもので、明確に定義されたプロセスを持ち、多くの場合、法規制への対応が変更の主な理由となる。そのため、変更の頻度も低い。
2つめが差別化システムで、企業特有のプロセスや機能を支援するアプリケーションだ。その企業の差別化要因を生み出すもので、ビジネスの変革に従って頻繁に変えていかなければならない。通常1~3年で更新され、製品開発やカスタマーサービスのためのアプリケーションが相当する。
そして3つめが革新システムで、企業がイノベーションを起こすために必要となる新しいアプリケーションだ。次の組織のための差別化要因を生み出すもので、1年以内のライフサイクルで実験的に試行することが許される。できるだけ速くエラーを経験し、ビジネスへのリスクやコストを減らしていくことが要求される。
「アプリケーションは、変更頻度で分類することができるということ。それによって上のレイヤに対して、必要なリソースの割り当てが優先的にできるようになり、また上層レイヤを変更するためのコストと時間を減らすことも可能となる」
【次ページ】不動産債権を扱うグローバル企業の思い切ったERP戦略とは
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