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リクルート住まいカンパニーが手がけ、住宅/不動産情報で圧倒的な存在感を誇る情報サイトの「SUUMO(スーモ)」。月間PV1億5000万を誇る同サイトでは、収集した大量のアクセスログを蓄積/分析し、経営管理の効率化とカスタマーコミュニケーションの最適化という2つの場面で役立てている。そこで利用されているのが、各種のオープンソースソフトウェアとAmazonの提供するクラウドサービスのAmazon Web Services(AWS)だ。同サイトを運営するリクルート住まいカンパニー SUUMOネット横断企画部 データマーケティングチーム チームリーダー兼シニア・データサイエンティストの吉永恵一氏が、その取り組みについて語った。
ビッグデータ分析は“活用出口”を規定してから臨むべき
SUUMOは、月間PV数1億5000万、月間セッション数1500万、月間ユニークユーザー数900万強のアクセスログを持つ住宅/不動産情報提供サイトだ。B to B to Cのビジネスモデルで、ラストカスタマーは消費者だが、実際の収入源はサイトに広告出稿するクライアント企業となる。
AWS Cloud Storage Dayで登壇した吉永氏は冒頭、SUUMOでは大量のデータを扱う上でさまざまなサービスを利用していると切り出し、次のように続けた。
「AWSといったクラウドサービスだけでなく、大規模データを高速分散処理するためのHadoopや統計解析ツールのR、BIツールのPentahoなどのオープンソースソフトウェアも活用している。安い、フリーが我々にとってのキーワード。」
冒頭でも少し触れたように、SUUMOでは蓄積した大量データの“活用出口”として、経営管理の効率化と、カスタマコミュニケーションの最大化を設定している。
「いかにデータを蓄積して管理しても、“具体的に何に使うのか”が決まっていなければ、せっかく貯めたデータも宝の持ち腐れになってしまうことが多い。Webの改善や業務効率化、あるいはリコメンドなど色んな活用の出口があるが、こうした出口を最初に規定してからビッグデータ分析に臨むことが非常に重要だ。」
社内クラウドとオープンソースBIを連携してモニタリング
SUUMOではビッグデータの管理/加工を起点に、2つの活用出口を設定している。
1つめが、データに基づく経営管理の効率化で、要はモニタリングだ。現状診断→未来予測→予算の最適化→予算配分の実行という広告出稿計画を最適化するためのPDCAサイクルを回していく。
もう1つがいわゆるCRMで、カスタマーコミュニケーションの最適化だ。カスタマーの行動把握→コミュニケーションデザインの設計→アルゴリズムの実装→打ち手の実行という施策を行う。
「端的にいえば、前者は、広告出稿メディアを効果的に組み合わせてサイトへの集客を増やすためのもの、一方後者は、カスタマーの離脱を防いで最終的な資料請求といったアクションに導くためのものだ。」
まず経営管理の効率化における現状診断について、吉永氏は次のように説明する。
「現状診断は、たとえばコンバージョンや売上などモニタリングしているKPIの不調に気付くところから始まる。次にその原因を特定し、施策を講じて改善を図り、その効果を測る。このうち、KPI、原因、効果の各々を定量的に把握するプロセスが現状診断だ。」
SUUMOでは社内クラウドにある広告費や資料請求などの各種データベースからデータを抽出してデータウェアハウスを構築し、BIツールのPentahoを利用して、こうした各項目のモニタリングを行っているという。
「この仕組みの実現により、作業日数は従来の5日から30分に短縮でき、さらにより深堀した分析ができるようになった。」
【次ページ】AWSの各種サービスで未来予測と予算最適化を実現
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