- 2012/09/26 掲載
【青木隆夫氏インタビュー】コンテンツとしての「歴史」の魅力とは何か──人気アニメ『織田信奈の野望』プロデューサーに聞く(3/4)
『織田信奈の野望』プロデューサー 青木隆夫氏インタビュー
アニメ制作現場の熱気とこだわり
──コンテンツビジネスとして歴史モノを考えた場合、ユーザー側で物語があらかじめ共有されているというのは、取っ付きやすさという点で大きなメリットになりますね。青木さんは、昨今の歴史ブームをどうご覧になります?青木氏■個人的に、ブームの火付け役って、女性である場合が多いと思うんです。
とくに男性が理解できるジャンルに女性が入ってきたら、市場として盛り上がるのは当然かなと。時代劇とか大河ドラマって男性のモノってイメージが強かったと思うのですが、そこに女性が興味を持てる要素をつくったから、「歴女」と呼ばれる人たちが現れたのかなと思っています。
たとえば『戦国BASARA』(2005年発売のゲーム。2009年、2010年にアニメ化され、2011年には劇場版も公開)では、たくさんの戦国武将を若くてカッコいい男性として描いてます。また、見た目だけでなく、熱い情熱と信念を持った男たちの友情や葛藤も大変美しく描かれています。美しい男性の美しい生き様が、男性だけでなく女性にも支持されたのではないでしょうか。
──制作サイドが歴史というジャンルに相応のパイを見込んでいると?
青木氏■特定のジャンルで一発当てると、そこに市場が生まれますよね。その新しい市場を攻めるっていう考えは必然的に出てきます。たとえば『魔法少女まどか☆マギカ』が大ヒットしました。恐らくですが、いま魔法少女モノやそれに近しいジャンルを企画している所は少なくないと思います。過去には吸血鬼をモチーフにした作品が急増したり、新撰組が流行ったこともありました。
原作付きのアニメを制作する場合、だいたい放送の1年半~2年くらい前から企画が動いているんですね。要するに原作を探してきて、製作委員会を組成して、監督や脚本家などメインスタッフを集めて、制作に入るというステップを踏むわけです。そうなると、企画段階ではみんな目を付けるところが似てきちゃうんですよね。特に示し合わせたわけでもないのに。結果、ある時期に同系統の作品が集中することはわりと起こり得るんですよ。
──しかも、近年はアニメの制作本数が増えすぎて原作が枯渇しているという事情もありますからね。
青木氏■1年半~2年後に何が売れるか予測するのは、正直、難しいですよね。だから最終的には「この時期に僕らはコレで勝負する!」と腹を括るしかない。絶対にヒットすると信じて作るしかないんです。それをお客さんに示して、その結果を真摯に受けとめて次の作品に生かす。基本はその繰り返しだと思います。僕らも「信奈」を制作するにあたり、「このジャンルにまだお客さんはいるのか?」という不安はありました。それでも行けると踏んだのは、いわゆる「萌え」要素だけではない魅力がちゃんとあったからです。もちろん、可愛い女の子をきちんと可愛く表現することも忘れていませんが。
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