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  • 2012/08/30 掲載

デスクトップ仮想化製品を比較、5分で理解する運用負荷軽減とセキュリティの両立

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デスクトップ仮想化とは、サーバ側にユーザーが利用できる仮想マシン(デスクトップ環境)を構築し、ユーザーが利用するクライアント端末からネットワークで接続して、どこからでも同じデスクトップ環境を利用させるという仕組みだ。端末のデータをサーバ側で集中管理するため、運用管理の効率化やセキュリティの向上、TCOの削減などさまざまなメリットが得られる。今回は、デスクトップ仮想化の仕組みを理解したうえで、シトリックスやヴイエムウェア、マイクロソフトなどの製品群を比較して見ていくことにしよう。
執筆:池田 冬彦

1分:デスクトップ仮想化とは何か?

1分デスクトップ仮想化とは何か?
2分デスクトップ仮想化を実現する3種類の方法
3分デスクトップ仮想化のメリットとデメリット
4分デスクトップ仮想化の主要4製品を比較
5分製品選択、導入のポイント
 企業において、クライアント端末の管理にかかる運用コストや運用負荷は、今なお増加の一途を辿っている。特に、数百、数千、数万ものクライアント端末を常にメンテナンスし、セキュリティパッチの適用やアプリケーション、周辺ソフトのアップデートなどを含め、安全に利用できるように運用するのは大変だ。また、各端末上に個別にさまざまな機密情報などが保存された状態だと、その端末を持ち出した際の情報漏えいも懸念される。

 このような状況を根本的に解決するとして、注目を集めているのがデスクトップ仮想化(VDI:Virtual Desktop Infrastructure)だ(※)。後ほど詳細を説明するが、サーバ上の仮想マシンに、仮想のデスクトップ環境を構築し、各人の端末からその仮想マシンにネットワーク経由で接続し、自分のデスクトップ画面を呼び出して利用するといった使い方をする。(※VDIとデスクトップ仮想化は異なるものだとする見解もある)

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デスクトップ仮想化のコンセプト

 デスクトップ仮想化の基本的な考え方は、シンクライアント(Thin Clinet)と呼ばれるものと同じだ。そのコンセプトは1990年代後半にオラクルが提唱した「Network Comupter(NC)」やサン・マイクロシステムズの「Java Station」などに端を発する。端末上にハードディスクなどのストレージを持たず、画面情報とマウスやキーボード情報をネットワークでやりとりしようという試みだ。

 シンクライアントもいくつかの実装方法があったが、専用の特殊な端末を導入する必要があったり、ネットワークのスピードが遅くパフォーマンス面で不利であったことや、サーバ側のシステム構築などに高いコストがかかっていたこともあって、導入のハードルは高く、大きな普及には至らなかった。当時はデスクトップPCの価格が急激に低下していった時期でもあったため、当初期待されていたコストメリットがそれほど発揮できなかった点も普及の妨げになったと言えるだろう。

 デスクトップ仮想化は、これらの問題を解決し、コストパフォーマンスや実用度の高いシステムとして2010年頃から本格普及の兆しを見せ始めた。専用端末は必要なく、普段使っている端末をそのまま利用でき、ユーザーに特殊な環境の利用を強いることはない。また、企業や個人の利用環境も、固定回線に限らず、モバイル回線も以前とは比べものにならないほど高速化し、テクノロジーの進化によって、画面の描画品質も劇的に改善された。

 特に近年は企業のセキュリティ要請が強く、個別の端末にデータが散在しないという理由から導入されることも少なくない。直近では、PC端末のみならず、タブレットやスマートフォンといった小型携帯端末でも比較的安全かつ簡易にデスクトップ環境を利用できることもデスクトップ仮想化の普及に貢献している。

【次ページ】デスクトップ仮想化を実現する3種類の方法
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